第75話 中年女性の元冒険者奴隷
タカシが夜間の巡回を終えて戻ると、部屋では中年の女性が待っていた。被害女性の中で一人だけ年が離れていた元冒険者のレインが「お帰りなさい」と挨拶をし、タカシの鎧を脱がしていった。
レインはスタイルが良く、髪の色は栗色、肩までのボリュームのある髪型をしている。タカシは年齢が倍以上離れているため気を遣うかと思ったが、きれいな顔立ちと上品な大人の雰囲気に欲情していた。
レインはタカシの服を脱がせ、濡れタオルで優しく体を拭いた。タカシはその優しい手つきに我慢できずに、彼女をベッドに押し倒して欲情の赴くままに抱くのであった。彼女は驚くことも嫌がることもなく、タカシを受け入れた。
事が終わり、タカシは彼女と話をした。その時、彼女の雰囲気に既視感を覚えた。気のせいと無視していたが、ディオス男爵の話が出た時にアーナス夫人とダブり、その正体がわかった。
(貴族だ!)タカシは目を見開き、全身の毛穴が開いて一気に体温が上昇した。彼女の奴隷の首輪を見て、自分が危ない状況にあると気づいた。貴族を奴隷にすることは禁忌だ。これが世間に知られれば処分される。
(何てことをするんだ、アーナス夫人は……)
タカシはアーナス夫人によって罠にはめられたと考えた。奴隷商サイロンの「だから貴族には関わるなって言っただろ?」という言葉が、心の中で反響した。
そんなタカシを見て、「私は貴族ではないです」とレインは言った。
レインによると、子爵家の娘として生まれたが、結婚せずに家とは距離を置き冒険者として生きてきたとのことだった。貴族とは爵位を持つ者を言うが、その身内も貴族と同じように扱われる。しかし家から出た者はその限りではないとのことだった。
レインはSクラス冒険者のディオスに憧れて冒険者になった。ディオスが土地持ちの貴族になったので手伝いができればと考え、ディオス領に拠点を移した。運良く仲良くなれ、一緒に領地拡大に励んだ。そしてその功績が認められ、Aクラス冒険者になったとのことだった。
タカシはAクラス冒険者と聞いて驚き、それが自分の奴隷になっていることに感動するのであった。そんなタカシの驚きをよそに、レインの身の上話は続く。一つ気になった点ができたので、タカシはレインに確認した。
「冒険者の多くは、ディオス男爵と一緒に戦地に向かったと聞いたが、なぜついていかなかったんだ?」
「ついていきたかったです。でも、Aクラス冒険者に昇級したと同時に、冒険者ギルドのギルドマスターに任命されたので……」
タカシは、失踪したギルドマスターが自分のベッドの上にいることに驚きを通り越し、思考停止状態になった。
レインはディオス男爵の代わりに領地を守りたいという強い思いがあった。しかしそれが悪い方向に出てしまった。アーナス夫人が雇ったCクラスとDクラスの冒険者が帰ってこなかったため、一人で捜索に出かけたのだ。そこでゴブリンに囲まれた。Aクラスとはいえ、魔法使いがゴブリンに囲まれればなす術はなかった。
タカシは状況を頭で受け入れることができていなかったが、ずっと欲しかった魔法使いが手に入ったことに、アーナス夫人へ心から感謝するのであった。




