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第6話 ハーレム計画の第一歩

タカシが金貨を差し出すと、サイロンは驚いたように目を見開いたが、すぐにいつもの笑みを浮かべた。


「おいおい、兄ちゃん、本当に買うのか?まあ、いいけどよ。金貨一枚だ。ただし、物を盗まれないように気をつけることだな」


異世界ハーレム計画の第一歩は、この訳ありの美女奴隷、シャロンから始まるのかもしれない。


サイロンはシャロンの首にかかった革製の首輪を指差しながら、タカシに説明を始めた。


「この首輪は魔道具だ。奴隷が主人に反抗的な態度を取ろうとすると、自動的に締め付けられるようになっている。ただし、苦しくなる程度だ。絞め殺すほどじゃない」


「奴隷にも一般人と同じように四ヶ月に一度の人頭税がかかるから忘れるな。払えないと奴隷落ちになるぞ」


そう言ってサイロンは笑い、説明を続ける。


「この首輪には、ロープを通す鉄のリングがついている。ここにロープを結んで、兄ちゃんの家までロープを引っ張って連れて行くんだ。まあ、習わしだな。家に着いたらロープは外してもいい。何かわからないことがあれば、いつでも聞きに来てくれよ」


「おっ、それと最後に忠告だ。奴隷は奴隷として扱うのが、お互いにとって一番いい。覚えておいた方がいいぞ」


そう言って、サイロンはシャロンの首輪の鉄のリングにロープを結びつけた。


「さあ、ご主人様。この子を連れて、好きなようにすればいい」


タカシは、いやらしく笑うサイロンからロープを受け取った。ロープを通して、シャロンの震えが伝わってくる。


「シャロン、行こう」


タカシがそう言うと、シャロンは無言でその後に続いた。彼女の表情には、不安が見て取れた。


サイロンに見送られ、タカシとシャロンは奴隷商を後にした。人通りの多い大通りでロープを引っ張って歩くのが恥ずかしく、タカシは人目を避けながら、そそくさと自分の家へと帰った。


(これで、ハーレム計画の第一歩)


タカシは心の中でつぶやいた。


貧民街の自宅にたどり着くと、タカシは玄関を閉めるなりシャロンの首輪からロープを外した。それから椅子に腰をかけ、大きくため息をついた。シャロンは無言のまま、床に座り込む。


数分の静寂が部屋を支配した。タカシはシャロンの視線を感じながらも、どのように振る舞うべきか悩んでいた。


「えっと、ここが台所だ」


タカシは重い口を開き、台所を指差した。しかし、そこにあるのは小さな台と、水と食料の入った壷がふたつだけ。


「見ての通り、何もないけどな」


そう言ってから、タカシはふと思い出した。


「奴隷商ではどんな食事だったんだ?」


タカシの問いに、シャロンは静かに答えた。


「ノーマルランクでは、一日一食でパンが一つと野菜くずのスープがもらえました。見切り品に落ちてからは、パン一つと水になりました」


タカシは妙に納得してしまった。ノーマルから見切り品に落ちれば、食事の質も落ちる。奴隷を奴隷として扱うとは、きっとこういうことなのだろう。


価値に見合った待遇が必要で、意味もなく劣悪な環境を与えるのは違う。かといって、贅沢させすぎるのも勘違いの元か。


「わかった」


タカシは立ち上がり、シャロンの目を見据えた。


「シャロンには家事全般をやってもらう。食事は朝と夕、パン一つと野菜くずのスープ。お前の分も同じでいいが、俺には夕食の時だけ肉か魚料理を一品つけてくれ」


タカシは続けた。


「本来なら主人の食べ残しを奴隷に与えるのが習わしらしいが、面倒だから、この内容で頼む」


シャロンは、タカシの言葉を無言で聞いていた。その瞳には、ほんの少しだけ安堵の色が浮かんでいたように見えた。

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