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第47話 王都へ帰還


セルマ、ミオ、メグをディオス領に残し、タカシは王都へと帰還した。王都の街並みはいつもと変わらないが、出発前との違いは衛兵をよく目にするくらいだった。たった二週間しか離れていなかったが、街の雰囲気や匂い、うまく言葉にできないが、故郷に戻ったような安心感があった。


馬車は王都内のディオス男爵邸へ向かう。タカシは馬を冒険者ギルドに返すと、貧民街にある自宅へ急いだ。久しぶりに奴隷たちに会えるのを心待ちにしながら、勢いよくドアを開け「ただいまー!」と大きな声を出した。しかし、部屋から返事が返ってくる気配はなかった。


玄関ドアを開けた先の部屋には、多くの足跡がついており、倒れた椅子やテーブルに上がった足跡まであった。タカシは走るように奥の寝室へ向かったが、誰もいなかった。誰かに襲われたと確信し、家を出て心当たりの場所を探した。


まず向かったのは、奴隷商のサイロンのところだった。サイロンは陽気に挨拶してくれたが、タカシの顔色を見てすぐに態度を改めた。タカシは正直に、家をしばらく空けて戻ったら部屋が荒らされ、奴隷たちがいなくなっていたことを話した。


サイロンは頭を掻きながら言った。「憶測だが、つい最近だ。三日前か……また反獣人の暴動が起きて、今度は前回よりも大きく過激だった。もしかすると、それに巻き込まれたのかもしれないな」


タカシは「奴隷商には来ていないか?」と尋ねたが、サイロンは首を二回振った。


タカシは次に迷宮と洗い場を探した。洗い場近くの大きな木には、何人もの獣人奴隷が吊るされ、燃やされていた。(見せしめだ……)タカシはそれが自分の奴隷ではないかと目を凝らしたが、炭化して真っ黒でよくわからない。しかし、靴を履いていないことから違うと判断した。そう信じたかった。


洗い場にいる多くの獣人奴隷たちは傷ついていた。鞭や虐待の痕、服を着ていない者、元は奴隷服だったのだろうか首や腰にわずかに布が残っているだけの者、腕を斬り落とされている者までいた。タカシは自分の奴隷たちへの不安と、頭がおかしくなりそうな嫌悪感で、吐き気が込み上げてきた。


洗い場にいる奴隷たちが自分の奴隷でないことを確認し終え、もしかしたら家に戻っているのではと一縷の望みを抱いて走って戻った。


ドアを勢いよく開けると、部屋を片付けていたシャロンが大きな物音に驚いていた。タカシはシャロンに駆け寄り強く抱きしめた。彼女の温もりと存在を感じ、キスをすると、シャロンは泣いていた。タカシは彼女の涙に気づき、激しく体を重ねた。


落ち着きを取り戻し、二人は服を整えた。タカシはシャロンに獣人奴隷たちのことを聞いた。


「三日前に私が買い物で家を出た時、キャロが何かを言いに一瞬家を出てしまいました。その時に暴漢に家に入られ、キャロは自分のせいだと、カリンたちを逃がすために盾になりました。私はカリンたちを連れて逃げ、しばらくしてから戻ってみると、キャロはいませんでした」


シャロンの言葉に、タカシは涙で顔をぐしゃぐしゃにした。最悪の事態を覚悟していたが、生存者がいることで想像していたよりは良かったと安堵した。しかしすぐに、キャロの笑顔や一生懸命な仕草がタカシの脳裏に浮かび上がり、小さな波が津波になって押し寄せてきた。タカシはキャロの名前を呼び、悲しみの涙を流した。


その後、シャロンが以前住んでいた家でカリンたちと合流した。三人が無事なことを喜び、抱きしめた。三人はキャロのことを涙ながらに話そうとしたが、タカシは辛そうな顔で「知っている」と言い、彼女たちを抱きしめ、皆で泣いた。


「王都から一刻も早く脱出しなければ駄目だ!」


タカシは獣人奴隷たちに王都脱出計画を説明した。明日の早朝に王都を脱出し、ディオス領までの約一週間の旅になることを告げた。タカシはシャロンに明日迎えに来ると言い、一人で家に帰ってからすぐに王都別館のディオス男爵邸へ向かった。


ディオス邸では老執事が対応してくれた。タカシのことを知っているようで、話が早く助かった。明日の朝一番に貴族用の馬車と幌付きの馬車を一台用意してもらうよう頼んだ。


次に奴隷商サイロンのところへ向かった。サイロンから奴隷たちが見つかったかと聞かれたが、「見つかっていない」と嘘をついた。そして、こんな状況では奴隷を使うことができないから買えない、と不満を言う。


サイロンは「確かなことは言えないが、今は衛兵が目を光らせているから前回のような暴動はないはずだ。今回の戦争は奴隷確保の側面があった。奴隷を増やすことで人頭税の収入を増やすのが第一王子の狙いだったらしい。国王がそれを望んでいたかはわからないが、今後王都でこのような暴動が起きることはない」と断言した。


「そうか……。獣人奴隷の奴隷教育はされているのか?」


タカシの問いに、サイロンは「もちろんだ!」と笑顔で答えた。


「じゃあ買わせてもらうが、もっと安くならないか?」


「いや……以前も説明した通り、この獣人奴隷は第一王子の命令で料金は変更できないんだ」


「じゃあ、少し多めに売ってくれよ。また殺されたら、たまらないからさ」


タカシはサイロンの顔色をうかがいながら言った。


「十人……は多すぎるか。九人?いや、奇数は無理か。八人……八人くらいならいいんじゃないのか?王様も怒らないって」


サイロンは渋々承知した。


「わかった。ただし、人頭税徴収の時にトラブルは絶対に起こさないでくれ、面倒なことになるから」


タカシは犬人族の獣人奴隷から八人を選んだ。牢屋には、まだまだたくさんの獣人奴隷がいた。


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