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第46話 王都へ


タカシは王都へ戻る準備を進めた。貴族用の馬車一台に幌付き馬車二台、そしてそれぞれの馬車に御者をつけ、食糧も準備してもらう。御者に慣れている者はすぐには見つからず、廃村の出身者から選ばれた。メイドのアンも一緒に行くことになり、タカシは短い旅ではあるが楽しい旅になりそうだとほっとした。


旅の準備を手配してくれたのは、例の目つきの悪いメイド、イーアスだった。彼女はとても有能で、こちらの要望をすぐに理解し、的確な指示を他のメイドたちに出していた。セルマもその動きを見て感心していた。


忙しく動くメイドたちを眺めながら、タカシはセルマと村の撤退について話をした。当然だが、全ての村が完全に撤退するわけではない。三ヶ月の間、モンスターに襲われないようにすることが目的だ。魔の森からある程度の距離があれば十分だとタカシは考えた。


アーナス夫人を交えて撤退させる村を決め、該当する村に領主としての通達を出してもらう。避難した村人の生活の問題もあるため、アーナス夫人の役割は大きいが、イーアスの動きを見ていると希望が持てる。


タカシは村の撤退がスムーズに進むことを祈った。しかし、兵三十人分の戦力が集まらなければ意味がないため、「悪いが先に出発させてもらう」とセルマたちに短い別れの挨拶をした。


タカシは領主の館に戻り、アーナス夫人の部屋へ向かった。ノックをして「タカシです。出立の挨拶に来ました」と扉の前で言うと、「開いてます」とアーナス夫人の声が聞こえた。まだ機嫌が直っていないようだ。


タカシはそんなアーナス夫人をじっと見つめて言った。


「信用してください。必ず帰ってきます」


「当然です。もしも戻ってこなかったら、多くの民が苦しむのですから」


タカシはアーナス夫人に抱きつき、無理やりキスをした。


「民のためではない。あなたを抱きに帰ってきます」


そう言って部屋を出て行った。若き冒険者タカシは、かなり調子に乗っていた。それも仕方がないことなのかもしれない。これほど美しく、貴族の女性を体現したような男爵夫人を我が物にしたにもかかわらず、罪に問われることはない。それは、アーナス夫人の願いを叶えられるのはタカシしかいないと、彼女自身が信じているからだ。もちろん、タカシには防衛できる自信があったし、強いやりがいも感じていた。


タカシは馬車の準備が整っているのを確認し、すぐに王都へ向けて出発した。馬に乗り、三台の馬車の先頭で走行速度を調整しながら進む。


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