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第43話 魔の森


「魔の森」、そこは未開拓の領地とされ、誰の支配も受けていない。多くの魔物が住んでいるだけでなく、地図もなく道もない。木々によって見通しも悪く、普通の人間では入り込めない自然の迷宮だ。


タカシは男爵夫人から借りた地図を片手に、魔の森付近の村々を調査することにした。魔の森に近づくにつれて、危険な魔物との遭遇が増えていく。それは、まだ放棄されていない、多くの村人が生活している場所でも同様だった。村人たちは、魔物に気づかれないように息をひそめて生活しているという。


タカシたちが最初に到着した放棄された村は、それほど時間が経っていないと聞いていたが、かなり荒廃していた。そして当然のように、複数の魔物がいた。ポイズンサーペントやグレートボア、ジャイアントトードなどだ。比較的倒しやすいDランクやEランクのモンスターが中心で、これなら殲滅は時間の問題だと感じた。


しかし、次の放棄された村へ行くと、さらにワンランク強いサーベルボアや、群れを作るグレーウルフがいた。グレーウルフの群れに囲まれる前に、タカシたちはすぐに退散した。


その後、放棄された村に近い、人々が住んでいる村々を回って状況を確認した。タカシはセルマと、この依頼について話し始めた。


「男爵夫人の要望に応えてモンスターを間引くことは可能だ。しかし、それは助けることができない村人の声を無視することが前提となる。俺たちが切り捨てなければならない命を選択するのは、正直キツい」


タカシは昨日のことを思い出した。アンに助けを求められ、状況も詳しく知らないまま快諾してしまった。もし、サーベルボアが一体ではなく複数いたら、あるいはグレーウルフのように群れを作るモンスターだったら、損害を覚悟しなければならなかった。一度でも損害が出れば、依頼の達成は難しくなる。それは、以前の合同パーティーと同じ運命をたどることを意味していた。


しかし、タカシたちが求める「キャロやカリンたち獣人族を守る」という目的には、これほど理想的な依頼はないように思えた。領地全体が魔物の恐怖に脅かされ、打開策がない現状、村人たちはタカシたちを藁をも掴む思いで見ている。男爵夫人も協力的で、獣人たちを気にする様子もない。この依頼を受ければ、貴族公認で家を借り、獣人族と一緒に生活できるのだ。


タカシは魔物から村を守るための具体的な方法をセルマと議論したが、良い案は出てこなかった。そこで、ミオとメグにも意見を求めた。


「守れない村を守ろうとせず、領地を縮小するのが正しいと思います」


ミオが冷静に答えた。


「魔物など、圧倒的な武力で押し返せばいいのです」


メグが続けた。タカシは「それができれば苦労しない」と思った。苦笑いするタカシを見て、メグは笑う。


「魔物を圧倒できる武力となると、どれくらいになるでしょうか?私たちには、キャロやカリンたちという戦力が待機しています」


セルマが問いかけた。タカシは唸った。


「うーん、どれくらいだろうな。領地が広くて村が多いから想像できない……」


しかし、タカシはあることに気づいた。


「元Sクラス冒険者だったディオス男爵は、騎士三名と兵士三十名を置いて戦争に出かけた。つまり、その戦力を用意できれば守れるのでは?」


二人の議論は白熱していった。そして、男爵夫人の全面協力を得られるなら、この依頼を受けると結論を出した。


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