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第4話 奴隷

亜人種の奴隷は市場に出回っていないという現実を突きつけられ、彼のハーレム計画は暗礁に乗り上げた。


「亜人種がいないなら、し……仕方ない。とりあえず、普通の奴隷がどんなものか見てみるか」


タカシは買う気が失せていた。とりあえず情報収集という名の冷やかしとして、レア奴隷に続いてノーマル奴隷も見せてもらうことにした。


男はにやりと笑い、一階に戻るとカウンター横のドアを開け、タカシを奥の部屋へと案内した。


「こちらがノーマルランクの奴隷になります。安価でお買い得でございます」


案内されたのは薄暗い空間だった。むっとするような空気が漂う中、鉄格子の牢屋が並んでいる。そのひとつに、二十人ほどの女性が押し込められていた。皆、疲れ果てた表情で、目には生気がなかった。


「ノーマルランクの奴隷は、一律、金貨三枚でございます」


店主はにやにやと笑いながら説明する。タカシはひとりひとりの顔をじっくりと見ていった。


「……意外と若い子が多いな。それに、顔も悪くない」


(亜人種が手に入らないなら、人間の女の子でもいいかな。かわいい子もいるし、金貨三枚なら試しに買ってみてもいいかもしれない)


ただ、いざ買おうと思うと、どの少女を選ぶべきか決められなくなる。


奴隷たちは、それぞれ違う雰囲気を持っていた。おとなしそうな子、気の強そうな子、どこか寂しげな子……。


タカシが視線を向けるたびに、少女たちと目が合う。その視線を受け、タカシの胸に罪悪感が広がった。まるで彼女たちの人生を左右する、残酷な神にでもなったような気分だった。


「どうします?この子にしますか?」


店員が笑顔で横から覗き込んでくる。


タカシは悩んだ。金貨三枚とはいえ、ダンジョンで必死に稼いだ金だ。無駄にはしたくない。しかし、どの少女を選べばいいのか、まったく分からない。買うか、やめるか――タカシは決めかねていた。


悩んでいるタカシに、店員の無言の圧力がじわじわとのしかかってくる。


圧力をごまかすように、他に奴隷はいないのかと尋ねてみた。


「それなら、地下に行ってみてはいかがでしょう?金貨一枚で見切り品として売られている奴隷がおります。まあ、訳ありですがね」


「金貨一枚!?」


タカシは驚き、目を丸くした。金貨三枚でも十分安いと思っていたのに、その三分の一の値段とは。


店員の笑顔はいつの間にか消えていた。厄介な客を押しつけるかのように、心底うんざりした表情で続ける。


「ええ。訳ありだからこその価格です。地下に行けば担当の大柄な男がいます。怖そうな顔をしていますが、話し好きですから、色々と教えてくれるでしょう」


タカシは迷わず地下へと続く階段を降りた。


地下室は地上よりもさらに薄暗く、じめじめとした空気が漂っていた。手前にドアのない小部屋があり、奥には錆びついた鉄格子の大きな牢屋がふたつ。その前に、ゴツゴツとした大男が立っている。顔には大きな傷跡があり、一見すると凶暴そうに見えた。


「よう、お客さん。地下担当のサイロンだ。見切り品を見に来たのかい?」


男はタカシに気づくと、意外なほど快活な声で話しかけてきた。


「はい。金貨一枚と聞いて……」


「ここの見切り品は、どれもこれも金貨一枚だ。ただし、全部訳ありだがな」


男はそう言うと、タカシを牢屋へと案内する。


中には六名の女奴隷がいた。


「こいつは病弱で体が弱い。こいつは足が不自由だ。こいつは喧嘩っ早い。こいつは……」


男は次々と奴隷たちの「訳」を説明していく。


タカシは再び頭を抱えた。


「そうか。だから金貨一枚なのか」


ただハーレムを作りたいだけなのに、選ぶとなるとこんなにも難しいとは。タカシはため息をついた。

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