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第38話 村の依頼


タカシとセルマは、王都から離れた場所にある村への依頼や、根城にできそうな場所を探すために冒険者ギルドへと向かった。所狭しと依頼が張り出された掲示板を二人で睨みつける。


「これはいかがでしょうか」


セルマが指差したのは、王都から二日ほどの場所にあるセラム村からのゴブリン退治の依頼だった。成功報酬は銀貨二百枚、ゴブリン一匹につき銀貨十枚。王都から往復四日かかるため、誰もやりたがらない依頼だ。村からのゴブリン退治の依頼は当たり外れが大きく、ほとんどの冒険者は他の依頼のついでに受けるという認識になっている。


しかし、王都から二日という距離が手頃だと感じたタカシは、この依頼を受けることに決めた。王都を出るには、人間一人につき獣人一人までという制限がある。この制限を確かめるためにも、獣人を連れていきたいと考えた。戦闘力の高さから、連れていくのはミオとメグに決めた。もちろん、戦闘力の高い二人を残すという案も出たが、獣人が反撃して事態を悪化させる可能性を考慮し、連れていくことにした。


奴隷たちに事情を説明し、シャロンが買い物に出なくて済むよう食料を買い溜めした。玄関には閂を新たに取り付け、頭を隠せるフード付きのマントも全員分購入した。


翌朝、タカシ、セルマ、ミオ、メグの四人は家を出た。シャロンには「獣人族は絶対外出させないでくれ」と念を押して出発した。


冒険者ギルドで馬を借り、往復四日分と予備二日分の食料を積んだ。馬を借りる際、ミオとメグが馬に乗ったことがないことが判明した。獣人族には馬に乗る習慣があまりないらしい。タカシとセルマの後ろにそれぞれ乗って、城門まで向かう。


城門で衛兵に呼び止められ、獣人二人を連れてどこへ行くのかと問われた。タカシは冒険者ギルドの依頼書を見せ、「セラム村までだ」と答える。


「人間一人に対して獣人一人同行させていいと聞いたんだが、間違いないか?」と尋ねると、「そんな感じだが、人間が三人いても獣人は二人までだからな。気をつけろ」と返ってきた。


タカシは、どうやって獣人族全員を王都から脱出させるか、頭を悩ませながら進むのであった。


セラム村での依頼は、思いのほか早く終わった。


村に到着して村長に話を聞くと、ゴブリンがいる洞窟は村から少し離れた山の麓にあるとのことで、場所の特定は容易だった。洞窟に入ってゴブリンを十一匹倒し、村長に完了報告をして、その日のうちに帰路についた。


帰り道、タカシたちは洞窟を今後のアジトとして利用できるか意見を交わした。タカシは「洞窟で生活するのか……」と考えると、即決をためらうほど嫌悪感があった。噂では知っていたが、やはりゴブリンが住みかにした後は匂いが気になった。それ以上に、洞窟に住むこと自体が自分を原始人にしたような嫌な気分にさせられた。もう少しまともな家で暮らしたいというのが本音だった。


セルマは、村長の雰囲気から村の協力を得るのは難しそうだと感じていた。村がもっと困窮していればつけ入る余地もあるが、そこまでではないようだった。道中、ミオとメグは乗馬の練習をしたり、掲示板に貼り出されていた他の依頼の中で良さそうなものを議論したりした。


王都に着くと、城門の衛兵に呼び止められた。タカシは今回も依頼書を見せた。完了済みの依頼書だ。衛兵はほとんど確認もせずにすぐ返し、「行っていいぞ」と合図した。ミオとメグはマントのフードを深くかぶった。


タカシは冒険者ギルドへ向かった。馬を返し、完了報告を終えると、掲示板の依頼書と睨めっこを始めた。


セルマはギルドの受付嬢と何やら話をしている。知り合いのようだ。アジトにできそうな依頼という、通常ではありえない目的をどうやって依頼に結びつけて聞いているのか気になった。


セルマは話を終え、タカシのところへやってきた。


「盗賊関連の依頼を聞いてみました」


セルマはそう言って続けた。


「盗賊の依頼は、彼らが溜め込んだ宝も報酬として受け取れるため人気が高く、依頼が出ればすぐになくなります。ただ、今は戦争中なので、治安維持のために騎士団が積極的に動いているそうです。盗賊は生まれたことを後悔するくらい徹底的に潰されるため、盗賊の依頼が出ることは少ないそうです」


それは王都近くだけでなく、他の貴族が治める領地でも同じらしい。


次の依頼を決めないまま、タカシたちは家へと帰った。元気な皆の顔を見て、タカシはほっと安堵の息をついた。


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