第35話 敗戦
新しい奴隷たちを迎え入れてから、一ヶ月が過ぎた。四人の獣人族も新しい生活にすっかり慣れたようだ。
タカシたちは全員で九層を狩り場にしていた。八人もの人数がいれば、無限にモンスターが湧いてこようと関係ない。驚くほどの効率でモンスターを倒し、ドロップアイテムを稼ぎまくった。
その日も夕方まで狩りをして、冒険者ギルドに獣の皮を納品し、すぐに帰宅する予定だった。しかし、冒険者ギルドがいつも以上にざわついていることに気づいた。タカシは近くの冒険者にその理由を尋ねた。
「第一王子の軍隊が、大きな損害を被ったらしい」
その言葉にタカシは驚き、ギルドに併設している酒場の人だかりへと向かった。そこでは、情報筋からの話だという怪しげな情報を語る冒険者たちが集まっていた。
「獣人族の虎族、狼族、熊族の合同奇襲に遭い、王子は負傷して甚大な被害を出したらしい。今は敗走状態だと聞いている」
「公爵や他の貴族の軍隊も壊滅状態らしい」
「国王は第二王子にすぐに出兵を命じ、すでに第一陣は戦地に向かったそうだ」
「その第一陣は、弟のカーク殿下らしいぜ」
「今回の戦争は楽勝だという触れ込みだったのに……」
「次期国王に内定していた第一王子の、輝かしい戦歴のための戦争だと言っていたのにな」
「これが戦争だ、何が起こるかわからないってことだろう」
「裏切りがあったって話もあるぜ」
「今更だが、楽勝というのが甘すぎたのよ。あの獣人族だぞ」
冒険者たちは口々に、自分の持っている情報や考えを語り合った。
タカシは冒険者たちの話がどこまで本当か分からなかったが、獣人族は十六氏族いるのに奴隷には犬族と猫族しかいないことを考えると、厳しい戦況になると予感した。




