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第27話 サイロンの愚痴


キャロとカリンの二人の獣人奴隷を迎え入れてから、タカシの生活はさらに賑やかになった。


彼女たちはとにかく明るく、いつも楽しそうにふざけ合っていた。シャロンにもよく懐いていて、料理や洗濯の手伝いも積極的にこなしていた。


タカシとの関係は、少しばかり複雑な空気があった。カリンはタカシとのスキンシップを望み、無邪気にじゃれついてくるが、キャロはそれに乗り切れずにいた。タカシに抱かれたことへの戸惑いが、まだ彼女の心に残っているようだった。


狩りにおいては、二人のセンスは際立っていた。タカシが教えた九層の狩り方をすぐに習得し、二人だけでも難なくモンスターを倒せるようになった。特にキャロは積極的で、その動きは熟練した冒険者のようだった。獣人族の身体能力とセンスには驚かされるばかりで、いつかタカシが抜かれるのではないかと、ひそかに焦りを感じていた。


タカシはすでに九層を卒業してもいいと考えていたが、セルマと相談し、獣の皮の買い取り価格が高騰している間は九層で狩りを続けることに決めた。セルマはBクラス冒険者並みの知識を持つほど博識だ。市場の動向やモンスターの生態、パーティの戦術など多岐にわたる知識を持っており、タカシはよく彼女に相談し、頼っていた。


「獣の皮の価格がいつ下がるかわかりません。稼げるうちに稼いでおきましょう」


セルマの現実的な助言に従い、タカシたちはひたすら狩りに明け暮れる日々を送っていた。


獣人奴隷たちを迎え入れてから、早くも二ヶ月が経とうとしていた。


キャロとカリンの装備を買い揃えるために散財したが、獣の皮の高価買取のおかげですでに取り返している。


今日は早めに狩りを切り上げ、奴隷たちを先に帰してサイロンに会いに行った。特に奴隷を買う気はなかった。シャロン、セルマ、キャロ、カリンの四人の奴隷に満足していたし、毎日が楽しかったので、この生活を崩したくない思いがあった。


奴隷商に入ると、タカシはいつものように勝手に地下へ降り、サイロンに挨拶した。地下の牢屋は獣人族でいっぱいだったが、よく見ると犬族の奴隷の中に猫人族の奴隷が混ざっている。


「獣人奴隷って、犬人族だけじゃなかったんだな」


タカシが素直な感想を口にすると、サイロンは「ああ、十六部族いるらしいぜ」と答えた。


タカシは手土産のワインを渡した。サイロンは「いつもすまないな」と言いながら、ワインボトルを大げさに持ち上げて喜んで見せた。


「週に一度、獣人奴隷が戦地から送られてくるんだ。王子は何を考えているのか、さすがにもう売れなくなってきた。兄ちゃん、買っていかないか?」


サイロンがおどけたように言うと、タカシは「もう四人奴隷がいるから」と断った。


「そういえば、兄ちゃんのところの奴隷はシャロンとセルマ、それに獣人二人だよな?そうなると、あと三人奴隷を持てるな」


「え?奴隷の定員は六人だから二人じゃないのか?」


タカシは驚いて聞き返した。


「シャロンは奴隷紋だろ?奴隷紋は奴隷としてカウントされないんだ。まあ、定員もあまり厳しくなくて、きちんと人頭税を納めていれば役人も細かいことは言わないがな。四ヶ月に一回来る人頭税の徴収、その時に税金が払えずに奴隷落ちする町娘が増える。もうすぐ納税月なんだが、これだけ牢屋がいっぱいだと人間が入る牢屋がない」


「獣人奴隷は、軍隊はだめでも、鉱山や農奴としては喜ばれるんじゃないのか?」


「うーん、戦争奴隷は王都から出すことを禁じられているからな。一度に二名までならいいとか言ってたかな。そんな面倒なルールを作ってでもというのは、今は戦争中だから、奴隷とはいえ自由にはさせられないってことだろう」


サイロンは堰を切ったように愚痴を吐き出し始めた。


「兄ちゃん、聞いてくれよ。週に一度、獣人奴隷が三十人から多くて百人届くだろう?そして納税月で町娘が奴隷落ちしてくるだろう?さらに最近は、獣人奴隷の下取りや返品が増えているんだ。もう奴隷を入れる牢屋がないってことよ。一人二人とは言わず、牢屋ごと買い取って欲しいくらいだ。まったく、世話をするこっちの身にもなってほしいぜ。飲んでないとやってらんねー!」


サイロンはそう言って、ワインボトルに直接口をつけて飲み始めた。タカシは、奴隷商も大変なんだなと、他人事のように思った。


「ただ、俺とセルマ、獣人二人で奴隷枠とパーティー枠は合わせて六人まで、残り三人しかないから、次はじっくり選びたいんだ。お役に立てず申し訳ない」


タカシは心のこもっていない謝罪をした。


「で、その三人にはどんな奴隷を考えているんだ?」


サイロンが聞くので、タカシはうーんと唸って悩むふりをした後、冗談めかして言った。


「金貨五十枚で買える、最強の冒険者かな」


タカシはそれ以上、獣人奴隷たちを見ないようにした。これ以上は欲しくなってしまうからだ。


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