表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/30

第2話 王都ベテルギウスの迷宮

王都ベテルギウス。この王都にある迷宮は、冒険者たちにとっての生活の糧だ。タカシもこの街に辿り着き、戦士として冒険者登録を済ませた。武器は、最低限の切れ味しかない安物のロングソード。防具は、お世辞にも頑丈とは言えない革鎧。ただ、転移した時には気付かなかったが、若い体(15歳くらい?)を手に入れていた。異世界転移のお約束がそのまま当てはまっているようで、異世界でもやっていける自信に繋がっていた。


「3層は無限湧きだぞ!いくらなんでも危険すぎるって!」


他の冒険者が忠告してくる。


この迷宮には特徴があった。


階層が3層ごとに区切られ、出現するモンスターの種類が変わるのだ。


・ 1~3層:植物系(化けキノコ、ダークツリー、アイアンフラワーなど)

・ 4~6層:虫系(ビッグアント、角カマキリ、千本ビーなど)

・ 7~9層:動物系(狂暴なオオカミ、ビッグラット、ホーンうり坊など)


そして、10層はモンスターが出現しない安全地帯となっている。


さらに厄介なのがモンスターの出現率だ。1層よりも2層、2層よりも3層の方がモンスターの数が増える。特に3層、6層、9層といった各ブロックの最終層は、無限にモンスターが湧き続けることから「無限層」と呼ばれ、冒険者たちに敬遠されていた。普通は全速力で駆け抜けて次の層へ進む場所なのだ。


1~9層は「低層」と呼ばれ、ドロップアイテムの価値も低い。そのため、ほとんどの冒険者はレベル上げだけを目的として低層を消化し、11層以降で本格的な冒険を始める。


しかしタカシは違った。彼はこの迷宮の構造に、ゲームの攻略法を見出していたのだ。


「3層の無限湧き……これって、経験値稼ぎの聖地じゃん!」


タカシはそう確信していた。3層の奥にある特定の地形を利用した、あるハメ技を編み出していたのだ。


3層に入った瞬間から、大小さまざまな化けキノコやホラーツリーの根っこが襲いかかってくる。だがタカシは焦らない。4層へ降りる階段へと続く広い通路から左に外れ、魔物が鬼湧きする中通路のどんつきにある小さな部屋へと素早く移動する。


「ホラホラ、こっちだ!」


その小部屋は安全地帯になっており、モンスターが湧かない。そして部屋の前の通路は幅が狭く、モンスターたちは一列に並ぶことしかできず、タカシに直接近づけなくなる。


『フンギャァアア!』


巨大な化けキノコが飛びかかってくるが、狭い通路の手前で動きが止まる。後続のモンスターが邪魔をして、タカシに直接攻撃できないのだ。


タカシは悠々と剣を振り、一列に並んだモンスターを端から順に斬りつけていく。


「一刀両断!」


もちろん、そんなスキルはない。ただ普通に剣を振るだけだ。それでも、狭い通路で身動きの取れないモンスターたちは、タカシの格好の獲物となる。


一体、また一体と倒していくたびに、ドロップアイテムが床に転がる。木の板、小さなキノコ、鉄の釘……。どれも安物だが、無限湧きのおかげでそれなりに金になる。


「お!レアが出た」


低層でも稀にレアアイテムが出ることがある。無限層でなければほぼ拝めないレアドロップは、美味しい収入だ。


「っしゃあ!今日も大漁だぜ!」


本来ならモンスターが無限に湧き続けるため、疲労で体力と集中力が限界に達し、モンスターに押し切られてしまう。しかしタカシの狩り方は違う。疲れれば安全地帯に逃げ込んで休憩を挟みながら、着実に稼いでいくのだ。


タカシには特別なスキルもチート能力も分からないまま。しかし、ゲームで培った知識と、危険を冒さず安全に稼ぐという現実的な考え方が、異世界での生活を少しずつ、しかし確実に安定させていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ