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第1話 異世界転移

真っ白な空間。

床も天井も、なにもかもが真っ白。そこに、同じく白い衣をまとった男が立っていた。男は自分を「エルフィスオン」だと名乗り、この世界とは別の「異世界」へタカシを転移させるのだという。


タカシは生粋のオタクだった。ライトノベルや漫画、アニメにゲーム。特に、いわゆる「なろう系」と呼ばれるジャンルには目がない。現実世界では冴えない人生を送ってきたが、それでもいつか自分も、チート能力をもらって異世界で大活躍する日を夢見ていた。

その夢が、ついに現実になろうとしている!


エルフィスオンは淡々と説明を始めた。「おまえを異世界へ送り届けるにあたり、若く健康な体と、特別な能力を与えよう」

タカシの心臓は高鳴った。ついに来た!これがいわゆるチート能力ってやつだ!


エルフィスオンが言葉を続ける。「その能力は……」

ヤバい!!待てない!嬉しすぎる!ヤバい!ヤバい!


タカシは逸る気持ちを抑えきれず、目の前に現れたキラキラと輝く光の渦――異世界へのゲートに飛び込んでしまった。

「ちょっ、ちょっと待て、まだ説明が!!」

エルフィスオンの声が背後から聞こえた気がしたが、もう遅かった。タカシの意識は光に包まれ、次の瞬間、彼は見知らぬ森の中に立っていた。


目の前に広がるのは、鬱蒼とした木々。風に揺れる葉のざわめき。鳥のさえずり。そして、遠くから聞こえる獣の咆哮。

「うわぁ、マジで異世界だ!とうとうやって来た、これからずっと俺のターンだ!」

転移成功。タカシは感動に打ち震えた。


さて、まずは自分の能力を確かめないと。

ゲームや小説でよくあるように、心の中で「ステータス」と念じてみる。しかし、何も起きない。

「あれ?ウィンドウが出てこないぞ?」

もう一度、「ステータスオープン!」と叫んでみる。やはり、何も起きない。

念じ方を変えてみたり、大声で叫んでみたり、体をひねってみたり。何度試しても、目の前にステータスウィンドウが現れることはなかった。


「もしかして、俺、チート能力……ないのか?」

いや、そんなはずはない。エルフィスオンが「与える」と言っていた。きっと何か、特別な使い方があるはずだ。

しかし、その方法を、タカシは知らない。途中で飛び出してしまったせいで、一番肝心な説明を聞き逃してしまったのだ。


この絶望的な状況に、タカシはこうべを垂れた。

「いくら異世界転移ものをたくさん読んでいても、神様の説明はちゃんと聞かないと駄目だったか……」


でも、立ち止まっているわけにはいかない。

タカシは気持ちを切り替えた。そうだ、ステータスが見えなくても、能力が分からなくても、やることは決まっている。この世界の定番の流れに乗るんだ!

まずは、この森を抜けて街を探そう。そして、冒険者ギルドに登録して、クエストをこなし、少しずつレベルを上げていけばいい。チート能力がなくても、異世界の知識はたくさん持っている。何とかなるはずだ!


タカシは決意を胸に、一歩を踏み出した。その足取りは決して軽やかではなかったが、それでも希望に満ちていた。

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