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第12話 シャロンの顔


その日の夕食後、タカシは思い切ってシャロンに話を切り出した。


「あのさ、シャロン……」


タカシは、もしシャロンが望むなら奴隷解放をする用意があると伝えた。もちろん無一文で追い出すつもりはない、金貨三枚を渡す用意があるとも付け加えた。シャロンは、新婚生活を送っていたと思っていたら突然離婚を突きつけられたかのような衝撃を受け、その場で固まってしまった。


タカシは、そんなシャロンの顔を見て焦った。言い訳をするように、矢継ぎ早に言葉を続ける。


「俺は、これから奴隷を増やすつもりなんだ。そうなると、当然若くて美人な子になる。冒険者としてのパーティーを充実させるためには、人数も増えていく。そうすれば、ひとり家にいるシャロンは疎外感を抱いてしまうんじゃないかと思って。それが嫉妬になって、シャロンが以前の勤め先の奥様みたいに……」


タカシが言いかけたその時、シャロンは今まで聞いたことのないような大きな声で叫んだ。


「そんなことしない!!」


シャロンの顔は鬼の形相に変わっていた。


「今まであんなに愛の言葉を語ってくれたのに!その程度の思いだったなんて、酷すぎます!」


シャロンは大粒の涙を流しながら泣き出した。タカシは必死に弁解する。


「待ってくれ!これはあくまで提案で、絶対そうしたいというわけじゃないんだ!シャロンに選択肢を与えて、自分で選べるようにと思っただけで……!」


タカシは、シャロンの涙と怒りの形相にたじろいだ。


「シャロンは綺麗だし、再婚だってできるだろ?奴隷でいるより、そっちの方が幸せだと思ったから……あくまでも、シャロンのことを考えて……」


タカシが言い終わる前に、シャロンは反論した。


「三十近い私に、いい再婚相手が見つかるわけないじゃないですか!見つかるとしても、いい年して結婚できない男か、妻を亡くした老人くらいじゃないですか!タカシ様は、私が邪魔になったから捨てるんだ!」


シャロンは、その後もしばらく泣き続けた。タカシはかける言葉を失い、ただ立ち尽くすしかなかった。


(俺は、シャロンをひどく傷つけてしまった……)


タカシは、自分がどれだけ愚かなことを言ってしまったかを悟った。言い方もすべてがまずかった。あの天使のようなシャロンを、鬼の形相にさせてしまったのだ。


タカシはシャロンに謝罪し、二度とこんなことは言わない、絶対に手放さないと誓った。


その夜、シャロンはいつものようにタカシの後からベッドに入ってきてくれたが、タカシに背を向けていた。タカシは、シャロンのすすり泣く声を聞きながら、何がいけなかったのかを深く反省するしかなかった。


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