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実力ある異世界人を目指して〜憧れの悪役は実力隠してやりたい放題  作者: グレープファンタジーの朝井
7章 阻止任務

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191.集結変人ズ

 大いに盛り上がる会場。試験だと言うのにこの盛り上がりはやはり異世界人だ。まあ何事にも全力なことは嫌いではない。


 前世で言う体育祭に近い何かを感じるからね。


「皆さま! わたくしが本試験の司会進行を務めさせて頂きますファリファと申しま〜す。本日から6日間お世話になりま〜す」


 試験会場の最も安全な位置からマイクを持っての登場。試験官というよりはプロの司会進行役を持ってきたということかな。


 兎人のようでかなり元気がある。そして何より生徒より目立ってるカラーリングをしている。


「本開催試験では6日間で行われる全学園競合の戦闘試験となっております〜。生徒の皆さんは第1プログラム・総力戦召喚騎士大戦、第2プログラム・魔法戦略、第3プログラム・実力者殲滅闘争の3つのうち2つの試験を行ってもらいま〜す。詳細についてはパンフレットをご確認くださ〜い」


 第1プログラムは集団戦で強い敵を時間内に何体倒せるかという試験だ。正直グループが決まらなかったら1人で立ち向かわなくちゃいけないけど……今回は有志たちが集まってくれた。


「レインくん。今回は男の勝負はお預けだよ。今は協力するときだ」


 クルスくんに……。


「昨日歴史写真集を見納めしてきたので充電はバッチリです」


 グラビア好きのワルフくん……。


「困ったときはお互い様だからね」


 最低3人の人数をこんな奴らに頼ることになるとは思わなかったよ……。がっくし。


 あ、でもなんかあと1人仲間に入れてくれって言う人がいたな。


「うう……緊張しますっ……」


 ボブカットのリンカちゃんっていう女子生徒だ。この異色のチームに勇気を持って入ってきてくれたある意味勢いのある子だ。


「大丈夫ですよ。ここには前の試験で脱獄した2人がいるので」


 メガネをクイクイさせて自慢するワルフ。今回の試験ではその知識は全く役に立たないぞ。


「頼もしいですぅ……」


 こんなオドオドしている子でも聖騎士目指したいとかあるんだなあ。世の中って不思議。


「本試験を支えてくれるのはオリジンという魔力を使った召喚装置で、戦闘エリアや、敵などを自動で生成してくれるみたいですよ? すごいですよね〜。それでは皆さん、本試験目玉のオリジンの登場で〜す!」


 ガコンと地響きのような音が聞こえると闘技場の中心が近未来風に開き物凄い量の煙を吐きながら何かが登ってくる。


「うわー、綺麗」


 昨日見た装置よりも一回り大きい。薄っすら青く光っていて装置というよりは何かの物体だ。


「なっ……あれは……」


「ワルフくん、あれがなにか知っているの?」


「あの水晶のような青白い輝き……それに紫色の魔力の帯……」


「どうしたんだいワルフくん!」


「いや、綺麗すぎて見とれてただけです」


 ワルフは叩かれた。


 まあワルフの言う通り様子が普通じゃない。外部からの魔力無しに魔力を放出し続けている。核分裂的ななにかか、別の何かがあの装置を支えてるとしか言えないね。


 もしくは他の世界から飛来した超物質か。


 どちらにせよあの装置はなにかよくない気がする。


「綺麗ですね〜。第1試験はこのオリジンを使った地形生成と敵の生成を行いま〜す。それでは生徒の皆さんは試験の準備を開始してくださ〜い!」


 試験会場はこの場に1つだけ。一つ一つの試験を見ていくのだから朝から夜までの12時間、休憩を挟みながら試験を行う。無茶すぎるぞこの試験。


「今のうちにどんな地形が出てくるとか予想しておきましょうよ」


「わ、わたし敵の生成パターンを予測しておきます」


 真面目な3人は試験を見るようだけど、僕は最初以外は裏でサボるとするかな。何かあってもここには聖人が4人もいるんだしなんとかなるでしょ。




 ────



 しばらくすると1組目の試験が始まった。試験開始と同時に地形が生成され、それっぽい足場と小道具が空間に現れる。


「流石に森など見えにくい地形の生成はないようですね。観戦者にも見やすく、それでいて実践のような地形です」


「い、岩なんかも見えます。小さいのです。あれでうまく攻撃を買わせたり出来るといいですねっ」


 うまい具合に考えられている。遠距離チクチクは流石に対策されているみたいだ。おまけに敵の出現位置が完全にランダム。


 さて、10分でどれだけ攻略出来るかな。


「さて始まりました! 記念すべき1回目はどんな敵なのでしょう! 剣を持っているように見えますが……」


 曖昧な姿ではなくちゃんと実体で現れている。生徒は5人組のようだが敵は1体のようだ。ザバルタ学園の生徒のようで地形変化に全く動揺していない。やはり慣れというのは強いね。


 そして先に仕掛けたのは敵側。


 地形を巧みに使った接近術を見せてくれたが相手はあの優秀なザバルタの生徒たち。柔軟な対応で難なくこれを撃破する。


 続いて先ほどの敵よりも魔力が大きく、大太刀を扱う敵のようだ。魔法で善戦しているようにも見えるがあのグループは魔法が得意じゃないのか決定的な一撃は与えられない。


「やつが武器を振るえない今のうちに俺たちでやるぞ!」


 停滞感を止めたいが故の行動。だけど弾幕の数も減って、敵も剣を振るう隙が出来る。


 広範囲に薙ぎ払う攻撃は周囲の瓦礫を吹き飛ばしながら、近づく生徒たちを遠くへ押しやる。


 一体目の敵とは大違いだ。


「どうなっている! いきなり強くなったぞ!」


 装置のことは知り尽くしているであろうザバルタの生徒が声を荒らげている。イレギュラーか、はたまた単に相性が悪いのか……。


 もしかして……早く撃破すればするほど敵の強さが上がりやすいのかもしれない。うまい具合にバランスを取ってきているな。


 2体目はかなりの時間を使ってトドメをさした。


 以降の敵は攻撃手段の変わった同じぐらいの強さの敵がでてくるだけだった。


 ザバルタの一戦目は5体。撃破タイムは20秒、4分、1分、2分、2分……そしてタイムアップということだ。


 無双とまでは行かないものの、1体に2分程度の時間を掛ければこれぐらいが平均値になるだろう。


 僕らは4体ぐらい倒せばいいかな。


「さてさて〜2組目の試験はまたまたザバルタ学園の生徒さんたちでーす」


 試験交代の時間は極めて短い。ステージが元のステージに戻った瞬間生徒たちもどこかへと消えている。新たにステージに上がった生徒たちを確認すると即座に試験が開始される。


 心の準備はとっくの前に済ませなくちゃね。


「おお!? なんと最初の敵を10秒も経たずに撃破!? 流石はザバルタの貴族たちです! 強すぎる!」


 会場がざわついている。僕も気になって視線を向けてみる。


「2体目も難なく撃破! ここから強さがぐんと上がりますが快進撃はいつまで続くんでしょうか!」


 ザバルタの貴族はどういう敵が現れるのか知ってあるかのように、即座に対応して見せてみる。弱点を正確に見抜く加護でもあるのか、3体、4体と素早く倒して見せる。今のところまだ2分も経っていない。


 やはり戦闘試験にてザバルタの無双は止められないね。中でもあの生徒……同い年とは思えない程の筋肉量だ。大剣を担いで相手の防御すらも打ち砕いている……。


「うおおおおお!」


 しかも敵の攻撃すらもろともしないばかみたいな耐久力……。高速撃破は彼がいなければ成り立ってないのだろう。


「あの生徒はイムガルくんですね! 鍛え上げられた肉体を最大限利用したパワフルな戦い方! 見ているこっちも清々しいです! 残り時間はまだまだありますが一体どこまで記録を伸ばすのか!」


 あの勢いだと30体も夢じゃないね。会場も滅茶苦茶盛り上がっている陣営とドン引きする陣営と2つに分かれている。


 ま、将来的な個人戦であれとぶつかることになるんだからみんな不安なんだろうな。ま、一回戦目で負ける僕には縁が無いし、関係ない話か。


「レインくん、どこに行くの?」


「お、お腹が……緊張でお腹が……」


「そ、それは大変だね。僕たちの出番が来るまでちゃんと処理してくれよ」


「ああ、分かってる」


 僕は顔を真っ青にしながらお腹を抑え……る真似をしながら、そのままサボりに行くのだ。

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