表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚余剰人員の為、魔王は任せて異世界満喫?!  作者: 倉地冬馬
序章:余剰人員、異世界へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/11

第7話 黒い板:約束:初めての夜

 携太(けいた)(ちゅう)に浮く黒い板を手に取った。


 見覚えのあるその物体は、携太の手元で、見慣れた待受画面(まちうけがめん)を表示していた。


「なんでここに……」


 当たり前の疑問(ぎもん)を抱きながらも、鳴り続ける音をどうにかしたい。


 携太は画面を数回タップし、スライドさせる。


 ピピピピピ、という音が止まった。


 その一部始終(いちぶしじゅう)を見ていたエレナとバルトは、(おそ)(おそ)る近づいてくる。


 それに気がついた携太が、慌ててスマホをポケットにしまう。


 するとエレナが(われ)を忘れたように、勢いよく(せま)ってきた。目をぱちくりさせながら、食い入るように携太を見つめる。


「今のは何ですか!? トントンって触って、シュッてしてましたよね!? 何をしていたんですか!? 無詠唱(むえいしょう)でアイテムを目の前に出すなんて、見たことも聞いたこともないですよ!!」


「えっと……たぶん、俺の大事な物だと思う」


「たぶん、ですか?」


「うん。見覚えがあるというか……自分の物だっていう感覚はあるんだ。でも、どうして急に出てきたのか分からない」


 携太は言葉を選びながら答えた。


 嘘をつきたいわけではない。だが、本当のことをすべて話せるほど、携太自身も状況を理解できていなかった。


「それに、さっきも言ったように、今は少し記憶が曖昧(あいまい)なところもあって……。今日一日で色々ありすぎたから、少し整理したいんだ」


「さっき触って何をしたかだけでも――」


 エレナがさらに身を乗り出しかける。


「エレナ」


 バルトが静かに名前を呼んだ。


 その声は優しかったが、止めるには十分だった。エレナははっとして、口を閉じる。


「申し訳ありません。娘は好奇心が強いもので」


「いえ、大丈夫です。俺も、ちゃんと説明できなくてすみません」


 携太は頭を下げた。


「いえ。無理に聞くつもりはありません。今日は休まれてください。色々あって、お疲れでしょう」


「ありがとうございます。明日、もう少し落ち着いたら……分かる範囲で話します」


「はい。それで十分です」


 バルトはそう言うと、エレナに(かぎ)を渡した。


「エレナ、一号室に案内してあげてくれ」


 そう言って、バルトは軽くウインクをした。


「……! はい!」


 エレナは何かを(さっ)したようだった。


「携太さん、こちらです!」


     ◆


 エレナが案内したのは、二階の一番手前の部屋だった。


「一号室です!」


 エレナが扉を開ける。


 部屋は……思っていたより広い。


 窓からは街の(あか)りが見え、落ち着いた茶色のカーテンが掛かっている。床は木材で、軽く歩くとギシリと音がした。


 壁際にはシングルベッド、窓際には机と椅子(いす)、反対側の壁際にはタンスと洗面台(せんめんだい)。そして部屋の中ほどには二人掛(ふたりが)けのソファ。


 自分一人で泊まるには十分すぎるほどの部屋だった。


「この部屋、広いね」


「えへへ、一番いい部屋なんです」


 エレナが笑顔で答えた。


「いいの?」


「良いんですよ! お父さんが、ここの鍵を渡したんですもん」


 エレナは嬉しそうだった。


「ありがとう」


 携太は頭を下げた。


「それじゃあ、今日はゆっくり休んでくださいね」


 エレナはぺこりと頭を下げ、部屋を出ていった。


     ◆


 一人になった。


 携太は深く息を吐いた。


(とりあえず、一晩(ひとばん)考える時間はできたな……)


 今日一日で、色々なことがあった。


 召喚され、知らない街に放り出され、宿に着いたかと思えば……スマホが出現(しゅつげん)した。


 携太はベッドに(こし)かけた。


 スマホのことを調べたい。でも、体が重い。


 元の世界で寝る前に転移して、寝ずに活動していたから、眠気の限界(げんかい)に達していた。


(明日……明日ちゃんと調べよう……)


 携太はそのままベッドに横になった。


 窓の外を見ると、外からは少し(にぎ)やかな声が聞こえていた。それでも眠気が勝るほど疲れが押し寄せている。


 異世界での、最初の夜。


 携太は、いつの間にか深い眠りに落ちていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


突然現れた黒い板――スマホについて、携太自身もまだ分からないことばかりです。

ひとまず異世界での最初の夜を迎えた携太ですが、次回からは少しずつこの世界での生活が始まっていきます。


続きも読んでいただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ