第3話 消えたパペット
荒宿シティ。黒木霊力探偵事務所。
ピコン。
メールが届く。
[解決だ。レディ。
お礼をしたい。
夜のレストランで食事を]
「天龍川さん。本当にあきらめない男ね」
アンは、ほうかさんを見上げる。
「私が、愛してるのは、ほうかさんだけよ」
「僕も、アンさんだけを…」
「ねえ。おネエさんとおニイさん。イチャイチャしてないで、パペットを探してよ」
背の低い女の娘。
福山ミヤビ。
中学生。見た目は、幼い。
大人の楽しい時間などわからない。
「パペット…?」
「人形の名前だよ。パペットちゃん」
第3話 消えたパペット
手作り人形。名は、パペットちゃん。
福山ミヤビの自作。
ネコの形をしたあやつり人形。
「可愛く作ったの」
アンは、紅茶を飲む。
「ほうかさんの淹れる紅茶が、一番美味しいわ」
「あなたへの愛があふれていますから」
「まあ、うれしいわ」
「コーヒーも飲みますか」
「コーヒーも飲むわ」
二人きりの、ティータイム。
「聞いてるの?」
不機嫌な女の娘ミヤビちゃん。
「聞いていますよ。ミヤビちゃん」
ただ、ひと仕事をこなしたアンを、ねぎらいたい。
しかし、万人を救済する心を持つ。
聖職者を目指すほうかさん。
「ネコ型のパペットちゃんが、消えたワケですよね」
「そうなんだよ。探して」
女の娘ミヤビちゃんは、帝都新聞で霊力探偵の存在を知り、この事務所にやって来たという。
「ネコ型の“人形”って、危ないかも」
アンは、霊力探偵。人形=幻身狩りの職業。
1000年の御神木の呪いがかけられた荒宿シティ。
木の人形に呪われ続けている。
ピロリン。
ミヤビちゃんのスマホにメールが届いた。
[パペットちゃん。
ベッドの下に、落ちてたよ]
「あ、あったみたい」
喜んで立ち上がるミヤビちゃん。
すぐ、帰って行く。
バタン。
「何だったのよ。あの娘」
「見つかって良かったですね」
呪われた荒宿シティ。
何事も無いこともある。
「こんな事件ばかりなら、良いですよね」
「無意味よ」
「いいえ。あなたが、無慈悲な人形破壊をしなくてすむではないですか」
ピンポーン。
しばらくして、再び、ドアチャイムが鳴る。
ほうかさんが、インターホンをのぞくと、赤いバラを持った天龍川さんがいた。
「レディ。会いに来たよ。今夜、レストランで食事を」
眼鏡の奥の瞳は、穏やかだ。
「警視総監は、暇なのかしら。私には、ほうかさんという恋人がいるのよ」
アンは、お断わりした。
「恋人の有無は関係無い。ワタシの愛は、一直線にレディに向かっている」
警視総監の天龍川さんは、ほうかさんとの三角関係を楽しむという。強気だ。




