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文化祭の準備ミノルたちと隣のクラスの様子

兄のミノルのイベント参加を自分の中で夏の出来事と捉えて、父と母のデートは秋がやってきているイメージでして、なので書き上げている今の立秋を過ぎたあたりの内容をと学校のイベントを考えていたら、文化祭という有名なイベントが浮かんできました。文化祭の前にテストがあると思いますが、テスト終わったら文化祭や運動会のイベントが待っているよということで楽しみにしながら読んでつかの間休息をしていただければと思います。

 うーん、赤がいいか黒がいいか、決めかねる。

 ここは、赤い色で己の情熱的なバイタリティを表現するのか、それとも黒い色で冷静沈着かつ滞りなく執り行えるそんな存在感を表現した方がいいのか。

 と考え悩んでいるのは兄ミノルだった。立川は隣でぶつぶつ独り言を言って悩んでいる友人ミノルを見て呆れた。

「みんな聞いてくれ」

すると、周囲で同じように赤い布と黒い布を見ていた面々が立川に注目をした。遅れて、ミノルも立川を見る。

 立川は自分に注目が集まっていることを確認してから、みんなに尋ねた。

「今回の文化祭での出し物の吸血鬼の館をテーマにした喫茶店のアイテム作り。どんなものが赤でいくか黒でいくか意見を聞かせてくれ」

「そうですね」

と立川の向い側に座る眼鏡をかけた男子生徒が、眼鏡のフレームを少し上に押し上げて位置を調節しながら口を開いた。

「その蝙蝠は黒い色にしてもいいかと思いますが、既にこのように購入されている赤い布も活用していかないとというのがみんなの認識で合っているかと思います」

「確かに」

「そうだよね」

一緒に制作するメンバーの女子生徒二人も頷いている。

そんな二人を一瞥した後に二色の布を見ながらもう一人の黒い髪の長い女子生徒が思い出しながら言う。

「内装的には大きな布で学校の風景を隠すことはしないで、アイテムを作って飾り付けるっていう話しだったけれど」

それに同意するように、隣の生徒が頷いた。

「そうだね。確かに決める時にそんなことも話していたね」

アイテム作りはミノルと立川を含めて眼鏡の男子生徒の井岡と仲が良い二人の会田と大岡そして髪の長い女子生徒の鈴木そして最後に同意している女子生徒内田。総勢七人。他のクラスの生徒も手伝いに来られる日時に参加することになっている。

「それにしても赤と黒の布ははじめに用意していたなんて。この出し物になるってことある程度予測できていたんだね」

「確かにね」

「事前にクラスで決めるための話し合いについての打ち合わせで予測していたってことか」

「そうなるね」

「わ、私ら分析されてんじゃんか」

「そうなるね」

「こわー」

「そして決まって、この布も活用することになっている」

「うちの文化祭実行委員とクラス委員長、実は大物なんじゃないの?」

 何人かが視線を合わせて頷いている。

「末恐ろしい生徒や~」

「冗談はさておき、で。どうする?」

「冗談って半分くらいは本当でしょ」

「まー、そうだとしても。我々で飾りのアイテムのアイデアを考えなければ」

「そうだよね」

「白い厚紙でお化けとか?」

「それなら厚みを出すために段ボールで作成するのは?」

「安くで飾り付け売ってるんじゃないか?」

「それじゃ、文化祭っぽくないじゃんか」

「そういうものか?」

「ミノル。手作りだからいいんだぞ」

「そうよ。風船による飾り付けとかいうならまだしも。手作りで安く済ませられるなら、それを挑戦しないでどうするの?」

「そうです。たとえ下手でも手作りで安く計上しなければ、売上黒字を目指しましょうよ」

「黒字出来るかはともかく、確かにコストを抑えてどれだけアイデアを出せるかが勝負どころじゃないかしら」

「我々の腕の見せ所という訳ですね」

「各々アイデアを考えるところから始めよう」

「ミノル君それもいいけれど、どこに何を置いてあってどう飾り付けるのかのコンセプトの詳しい内容も確認しないと」

「じゃ、同時進行していく感じで、確認する人と、アイテムの案を出す人とってするかい?」

「せめてスケジュールを確認したり材料費の管理だとか買い出しだとか制作以外のことも決めておいたら」

「なるほど」

 ミノルの頭の中に汗水たらして大声でイベント会場を盛り上げていた出演者以外のスタッフの姿が思い浮かんだ。

 確かに彼らにも役割があるようで、その責任をみな全うしていたように思う。自分たちも制作する作業の話しだけではなく、それらを動かしていく中で気にしなければならないことを役割を設けて担っていこうというわけだ。

「そのアイデアいいね」

「そうですね。上手くいけば頑張ったことに対して後々コメントで使えます」

「おお、将来を見据えた行いってことね」

「そうです」

「いいねぇ」

「そうだね、私たち何か特別部活でもクラスでも委員でもしてきてないから、これを頑張ったって言えたらまだ違うかも」

「そうだね。役割担ってみる?」

「うん、やってみようかな」

「どんな役割してみる?」

「進行状況の管理はどう?」

「え、私たちが管理する側なの?」

「そう。事実を事実として記録して伝えれば、最悪大丈夫だし」

「なるほど、うちらにはもってこいかもよ」

「そうだね。みんな作成予定物の内容や数や進み具合正確に教えてね」

「もちろん」

「では、私がスケジュールの管理を行うわ」

「いえ、私が行いましょう」

「そう?」

「ええ。その代わり手伝ってもらえませんか?」

「ええ、いいわよ」

 役割がするすると決まっていく。スケジュール管理は眼鏡をかけている井岡と髪の長い女子生徒の鈴木。進捗状況を管理するのは、仲のいい二人組の女子生徒の会田と大岡。

 立川が右手を上げてみなの注目を集める。

「じゃ、俺も全体のイメージとかの確認に参加したいから、井岡たちと一緒に他のグループと話し合いに参加するわ」

という提案に井岡は嬉しそうに、

「おお、それは助かる」といい、

「そうね。私もそれに参加するわ」

と鈴木も同意しているようだった。

 ミノルは内田を見る。内田もミノルを見ていた。

 内田が立ちあがって、ミノルの横に移動した。驚いてキャーという会田と大岡。そういえばと内田の移動した理由に気が付いただろう他の面々が、頭の中で「あ」と呟いていた。

 内田はミノルの肩に腕を掛けて、右手を上げる。

「我々は誠心誠意アイデアを出すことを誓います。買い出しにも行かせていただきます」

語尾に行くにつれて内田はミノルの顔を見た。ミノルは仕方がないと諦めムードで頷いた。

「それしかないか」

「そうそう」

「ははは。今回は我々に出番を譲るということで」

「ええ」

「自分でも自分の役割を頑張るから、いらぬ心配だ!」

「ははは、君らしいね」

と楽しそうに井岡が笑い。「まぁまぁ」と内田がミノルを宥めた。

 ミノルの隣に移動してこのような行動に出た内田の真意は何かと勘ぐってしまっている自分に気が付いた立川は、視線をそらせた。するとその視線の先に鈴木の視線があった。

 気まずそうに、眉間にしわを寄せる。

 笑顔で鈴木が言う。

「兎にも角にもアイデアを考えて案を出し合わないと」

「そうだな」

とミノルが同意する。

会田が前に出て、布を片づけようとしたときに、内田が待ったをかけた。

「え、なに?」

「その布見ながらアイデアを考えたいんだけれどいいかなぁ?」

「い、いいけれど」

「じゃ、後で内田さん片付けお願いしてもいいかなぁ」

「いいよ」

「俺も見ながら考えるわ」

とミノルが言って、自分の席に戻ってノートと筆記用具を取り出して、内田の隣に移動して布を目の前に置いて考え始めた。

 内田は嬉しい心を内にかくして、「私も」と言って自分の席からノートと筆記用具を持って来てミノルの隣に陣取って、考え始めた。

 会田と大岡は視線を合わせてまるでテレパシーを送り合っているかのように、口元がもそもそと動かして意思疎通を図って、アイデア出しを始めている。

 ため息をついた井岡は、自分のノートに予想される大まかなスケジュールの項目を書き出して、鈴木や立川の意見を訊き始める。三人はどのようにこのクラスの出し物が進んでいくのかを予想を話し合っていた。そうして大まかな形が見えてくると、他のグループのメンバーやクラス委員長や実行委員と詳しい話を詰め始めた。

 その様子を見ていた担任の先生は安堵した様子で、それぞれのグループに分かれて行われている彼らの活動の様子を見て回った。時折質問したり説明を受けたり、先生もしていく中でどうなっていくのかが頭の中で出来上がっていく。その出来上がってきたものに自分なりの予測をその頭の中で想像している形を補完するかのように、アイデアが頭の中に浮かぶ。そのアイデアに心躍ることもありつつも、ここは生徒の自主性を重んじる場面だと自分に言い聞かせて、立川達のもとへと歩んで、彼らの合意形成を手助けするべく先生も混じって話しを更に具体性を持って話しをしていった。

 先生がもたらすさきほど聞いて回った話しに、立川達は驚き、感嘆した面持ちで、頭の中に具体的かつ確証のあるアイデアによる出し物の様子が構築されていくことに興奮を覚えた様子だった。

「じゃあ、さぁ。こういう感じに」

や

「こうじゃない?」

などと具体的に全体像がまとまりつつあった。立川がミノルを呼ぼうとして視線を横に向けると、井岡がノートにそのアイデアを書き込んでいた。それを知って、井岡を内心すごいぞと褒める。

 このクラスが出し物について作業している頃、隣の教室では普通に授業が行われていた。後ろの席の生徒が、廊下側の扉を閉める。それに習うように、廊下側の窓を生徒たちが閉めていった。幾分静かになった教室に安堵する生徒たち。

 授業をしている先生が苦笑して言う。

「君たちは何時間目に彼らのように作業し始めるんだい?」

「さきほどしておりました」

と前の席の女子生徒が伝える。

「そうか。出し物も決まったのかい?」

「はい、滞りなく進んでおります」

「ちなみに出し物は?」

「先生なら職員室に帰ればお分りになられるかと思いますが、ここは秘密にしておきます」

「ははははは。楽しみにしているよ」

「回られるんですか?」

「一応ね」

「先生、誰と回るんですか?」

「おお!」

「こらこら、他の先生とです。先生たちと回りますか?」

「それはちょっと」

「断られたじゃないか」

「はははははは」と笑いが教室の中を包んだ。

「先生はおまえたちの笑いに付き合ったんだ。今度はこの問題を解いて先生の休憩時間を設けるのを手伝ってくれ」

「はい」とくすくすと笑いながら女子生徒も男子生徒も楽し気に笑って同意した。




中学と高校では文化祭の動き方が違うかもしれないと明後日の方を考えつつ、授業中に決めてそれぞれの班で作業している教室内の生徒と先生の様子をイメージして書き上げました。いかがでしたでしょうか。進めるにあたってみんなを「さぁさぁ、考えよう!アイデアを出そう!作っていこう!こうしているかい?」と気にして進めてきてくれていた存在に感謝を込めてこのエピソードをおくります。

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