勉強会その①
とうとう勉強会が始まりました。高校二年生の一般な平均的な偏差値の学校の授業内容が分からないと検索をしてみましたが、自分の習ったところもあれば記憶にないところもある。うーんと悩んだ結果、テストの内容自体はあまり詳しく表現せずに描いて行こうと決めました。
本日のメインイベントである勉強会の会場に選ばれた図書館に行ってみると、既に鈴木と井岡は来ていた。
立川とミノルはその姿を認めると、立川とミノルは、”集合時間よりも十分は前の時間なのに何で二人が揃って居るのか?!驚きだ!”と顔を見合って、”それはそうと急いで二人のところへ行こう”と頷き合った。
近づいてくる立川とミノルの姿にはじめに気が付いたのは井岡だった。
「やぁ」
「なんか悪い。待たせたか?」
「ああ」
井岡と立川の会話に鈴木も顔を上げて、二人が来たことに気が付いた。鈴木は立川とミノルをそれぞれ見て、
「こんにちわ」
と挨拶をした。立川やミノルも、
「こんにちわ」
「こんにちわ」
と挨拶をして、
「お待たせ」
とミノルが言いながら鈴木の向いの席に座ろうとすると、井岡が言った。
「俺と席を変わろう」
「え」
「横どうしの方が学びやすいだろう」
「あ、ああ。鈴木さんもそれでいい?」
「ええ、分かった。良いわ」
井岡が荷物を整えて、鈴木の向いに移動した。ミノルは鈴木の左横に移動する。
「じゃ、俺はここで」
と、立川はミノルの向いに座った。井岡の右隣ということになる。
「人数分空いていてよかった。そうか、二人とも席取りしてくれていたのか。ありがとう。考えが及ばなかったよ。悪かった」
ミノルが申しわけないと謝ると、
「それを言ったら、俺が買い物したいって誘ったんだし。俺の方が悪かったよ」
「なんだ二人でデートか?」
と井岡がからかうが、立川は楽し気に言う。
「実は普段学校でよく一緒に居る俺たちだが、休日にこうして一緒に過ごすってなかったから、新鮮だった」
「確かに。普段の立川を俺は知ったよ」
「本当に親睦を深め合っているじゃないか。良いことだ」
にこにこと嬉しそうにミノルが鞄から返ってきたテストと筆記具そしてノートを取り出す。教科書も持って来ているので、それも置いた。
その間に、鈴木は自習をしていたようで、それらを片づけて、ミノルとは反対側の脇に寄せた。そしてシャープペンシルを持ち、自分のノートも出した。
「じゃ、さっそく始めましょうか?」
「ああ、わかった。どの教科から、始めますか?」
「一番点数の悪かったものから見ていきましょう」
「じゃ、数学」
「ええ」
ミノルがテストと教科書を数学のものを残して後は再び鞄の中にしまった。机の上を整えてから、頭を下げた。
「宜しくお願いします」
「え、ええ。こちらこそ、宜しくお願いします」
ミノルが数学のテストを鈴木に見せるために渡す。鈴木は、
「拝見します」
と言うと、ぶつぶつと呟きながら、ミノルのこのテストでの結果の分析を始めた。
その姿にミノルは遠慮がちに、
「どうぞ」
と返事をする。
ミノルが前を向くと、立川の笑顔と目が合った。立川もテストの用紙を鞄から取り出していった。すると、立川の横に座る井岡が、
「俺も拝見しよう」
と言って、立川のテストの用紙を確認し始めた。立川のテストの点数は八十点だいが多い。その点に注目した井岡が、苦手な分野の分析も合わせて行ったようで立川に伝える。
「机の上を整えてから、分析結果を説明しよう」
「もう出来たのか?早いな」
「出来てなかったところも少なかったからね」
「ははは」
ミノルはその井岡の言葉に、俺は出来てないところが多いからなぁと思っていると、鈴木から声がかかった。
「ミノル君」
「はい」
「こちらも分析してみて分かったことを説明するわ」
「よ、宜しくお願いします」
「ええ。赤いペン持って」
「は、はい」
ミノルは指示通りに赤いペンを持つ。
鈴木が数学のテストの用紙をミノルの前に置いた。そして、間違え方の傾向を説明し始める。最初の計算問題では、計算の最後の部分で書き間違えるという凡ミスをしていた。
それから、書いては消してを繰り返して、結果、空白になっている問題については、公式の解き方について理解しきれていないところがある。
そして最後の応用問題に至っては、力及ばずなのか、時間が無かったのか、書いては消してを繰り返したあともない。
鈴木のそれらの指摘をテストの該当する問題のそばにメモしていく。
「ミノル君、教科書化してくれる?」
「わかった」
ミノルが教科書を手渡す。すると鈴木が、それら間違えた問題の範囲に該当するページを開いて見せた。
それらのページの数字をミノルはテストの用紙の問題のところにそれぞれが該当するように書き込んだ。
「それじゃ、上から順に始めていきましょう」
「はい」
「まずは凡ミスしたところをもう一度、ノートに問題文も書き写して解いてみて」
「分かった」
ミノルが筆記具からシャープペンシルを取り出して、それに持ち替えて、ノートに問題を解き始める。
鈴木がそのようすをすこし確認してから、前の二人の様子を見ると、二人は鈴木を見ていた。
「な、なに?」
「とても良い表情をしている」
と井岡が言うと、徐々に鈴木はどういう意味でそう言ってきたのか理解したようで、
「そ、そう」
と恥ずかしそうに答えた。
「正しく青春」
と立川も言うと、
「あなたたち二人の姿も青春じゃない」
「男同士では・・・・・・寂しく」
と立川がすこし大げさに言うと、ミノルはぼそりと呟いた。
「そりゃ、あの子じゃないと嬉しくないよな」
すると幾ばくかの沈黙の後に井岡がミノルに尋ねた。
「そのお相手は?」
「おい」
と立川が焦った声を出す。その様子に気が付いたミノルが事の次第に気が付く。
「あ、ごめん」
「お前ねぇ」
「うん。ジュース奢る」
「いや、奢られても。もうこの二人にバレたし」
「ははははは」
井岡が図書館なので他の三人に聞こえるくらいの声で笑った。ミノルのこういうところを以前、休み時間の時、立川に指摘されていて謝っていた過去のミノルの姿を思い出す。
「俺は君のそういうところは、大事にされるべきところだと思うぞ。愛されるべきだ」
「な、なにが?」
「なぜ?」
ミノル本人はどういう意味か分からず、立川は疑問を投げかけた。
「何故って、いつの世の歴史も人生も、そういった本音を表すことで、事態を好転してきたからな。人というものは」
「いいたいことはわかったけれど、井岡君。あなた誰目線で、今、語ったの?」
「ははははは。さてね」
「もう、なんだか恥ずかしいよ」
恥ずかしがるミノルに、
「俺の方が恥ずかしいわ」
と立川が言う。
「この際、立川の恋についても相談に乗ろうじゃないか」
という井岡の言葉に、
「勉強会なんだから、先に勉強進めて」
「そうだね。その後に立川の恋について応援していこうよ」
「いいね」
「よくない。ほっといてくれ」
「そんなもったいない」
「そういう問題か?」
「せっかく好きな人ができたんだ。大事にさまざまなオプションを経験しておかないと。せっかくの高校時代だぞ」
「井岡がおっさんの立場で発言してるぞ」
「時々そうじゃない」
「ああ、わかる」
「否定はしない」
「おい、否定しろよ」
どこかから咳払いが聞こえた。”お静かに”という注意を促しているのだろう。そのことに気が付いた四人は、「すみません」と頭を下げて、勉強の続きをし始めた。
凡ミス問題を落ち着いて改めて解いてみると、難なく解けるだろうと思ったが、もう一度同じことを書いてしまっていることに気が付いたミノルはショックを受けつつも、消しゴムで消して、書き直していった。
その様子を見ていた鈴木がアドバイスを送る。
「”間違えても良い”ってくらいに考えて、”再度自分で確認する”ってことを前提に進めていくことを受け入れると、ストレスなどの負担も少なくて済むよ」
「つまり、自分は間違いをすることがあるってことを受け入れるってこと?」
「そう。それを認めてしまえば、あとはそれが当たり前なので、それに見合った対応をしていくことを初めから行動の内容に入れておけば、良いってこと」
「うーん」
「なにも難しいことじゃないの。人って短所は必ずあるでしょ」
「うん」
「でもその短所は、リフレーミングをすれば長所でもあるの」
「リフレーミング?」
「”言い換え”ってところかしら」
「言い換えかぁ」
「そう。例えば”飽きやすい”人というのは、言い換えれば”分析が得意”であったり”覚えが早い”とも言えるわ。もちろん、”分からないから飽きやすい”という側面もあるけれど。それだって、”速度が速い”のよ」
「な、なるほど。その考え方だと、人には長所もあり短所もあるってことだね」
「そう。そして長所は時には短所に、短所は時には長所になり得る」
「じゃ、俺のこれも時には長所になり得る」
「そういうことよ。そう考えれば、自分の短所にも否定的にならずに済むわ」
「自分で自分を否定しなくて済むのか、それは良いね!」
笑顔で嬉しそうになったミノルに、鈴木もほほ笑む。
「鈴木さんの短所って何?」
「私は、・・・・・・」
「そこは意地っ張りなところだろう」
「そうそう」
「意地っ張りかぁ。確かに」
「ミ、ミノル君まで」
「時々見ていて。もう少し肩の力抜いて挑めばいいのにと思ったことはあるよ」
「・・・・・・」
驚いて黙る鈴木の様子に気が付いたミノルは、
「あ、ごめん」
「うううん。良いの。ありがとう、心配かけたみたいね」
「ああ、なんだか。もう少し伸び伸びとしていて良いような気がするんだけれど、同じクラスの女子相手に距離感の加減が難しいようで言葉にも詰まっていたよね」
鈴木の頭の中に、鮮明に思い浮かぶ。その当時、同じクラスの教室の中からはっきりと当時の鈴木の耳に届いた声があった。
”自分を出してみながら丁寧に挨拶して対応したら十分に出来てるんじゃないかなぁ”
その声の持ち主は、続けてこう言った。
”自分というもののままで過ごしたいんだ”
と。それがミノルだった。そしてその時にその話しを聞いているのも今一緒に居る立川だった。
その時の立川も、
”お前は十分自分を表現しているだろう。多少なりとも畏まりながら。時々ぶつぶつ言っているけれど”
その二人の様子に気が付いた鈴木は、この時ハッとしたのだった。ミノルの自分を表現する加減というのか方法というのか鈴木の目から見ても不得意そうであった。そんなミノルを立川は受け入れていた。もちろん注意をしている時も見かけたことはあった。
そのミノルなのに、そう、鈴木もこの時思った。あのミノル君なのに、私はこんなに心が解放されて、すっきりした。この日からミノルを見かけるとその時のことを思い出して、好意的な印象を抱くようになった。
それからだった。気が付けば学校の日は毎日のように、一度はミノルを確認するかのように視界におさめていた。
そうするうちに、女子生徒への話しをしている姿、特に恋愛について語っている時の声を聞きに近づいた鈴木は、悟った。
自分はミノル君に好意があることを。
彼の恋愛感を聞いて一喜一憂し、告白をしていないのに、振られたようなざわついた心持となり、席に帰って落ち込んだ。
あの日からどれくらいたっただろうか。
今こうして他の男子生徒二人と一緒だとはいえ、一緒に勉強会を行っている。しかも自分が好意を持っている相手のミノル君へと教えている。
そのミノルへの好印象を持ち始めた、恐らく好きになっていくきっかけの瞬間の時のことを話していることで、鈴木の頭の中は恥ずかしいやら嬉しいやら分からない状態になった。
ただ確かに言えることは、確実にミノル君を自分のものにしようという決意じみたものが現れた。
鈴木は、次の問題を解いていくミノルの様子を眺める。彼女の決意にも似たその感情が眼差しに現れていた。彼女の向いに座るその他の男子生徒と表された立川と井岡は、思った。
”ここに雌豹がいる!”
と。
一度学生の本文である勉強内容が分からなくなっていた私は、検索して学習内容を紹介しているサイトを見つけ出して、1コマ15分間くらいの学習を3科目行いました。知っている部分と、ようやくこの年になって理解をした私。覚えられなくともどういうことなのか理解は出来たその喜びが今日の大きな収穫でありました。続けて勉強していこうと思います。
いやいや、そうじゃなくて、鈴木のミノルへの好印象を抱いたきっかけを描くことができました。確か詳しくはまだなかったはず。と思っている。




