第29話 「結婚準備は、想像以上に大変でした」
婚約発表パーティーから、一週間後。
私は今――
大量の書類に囲まれていた。
「……多すぎませんか……?」
机の上には大量の書類の山。
「……普通だ」
向かい側で、レオンは真顔。
「……結婚とはこういうものだ」
(夢と現実の差……!!)
内容。
✔ 式場選定
✔ 招待客リスト
✔ 予算管理
✔ 新居候補
✔ 持参金調整
✔ 家同士の契約
(多すぎる……)
「……頭が……」
私は机に突っ伏す。
すると。
ぽん。
頭に手。
「……無理するな」
優しい声。
「一緒に決めてけばいいんだ」
(頼もしすぎ……)
翌日。
王都最高級ドレス工房。
私は、更衣室で固まっていた。
「……これ……」
純白のウェディングドレス。
刺繍、宝石、レース。
完璧すぎ。
「……高そう……」
カーテンの外。
「……まだか?」
レオンの声。
「……い、いきます……」
意を決して出る。
次の瞬間。
「………………」
レオン、完全停止。
「……れ、レオン?」
「……綺麗すぎる」
低音。
「……反則だ」
既視感。
(また!?)
担当者。
「さすが公爵様……」
「目が本気ですわ……」
レオン、私の肩を抱く。
「……他の男に見せたくない。……式、非公開にするか」
「しません!!」
即ツッコミ。
別の日。
王都郊外の屋敷。
「……ここは?」
私は聞く。
「……警備が弱い」
却下。
「……ここは?」
「庭が狭い」
却下。
「……ここは……?」
「隣家が近い」
却下。
(厳しすぎません!?)
「……レオン……全部ダメじゃないですか」
「君との家は、適当には決められないからな」
真剣。
(過保護……)
夜には二人で名簿確認。
「……え?」
私は止まる。
「……この人数……」
貴族・王族・外交官。
約五百名。
「……多すぎません!?」
「……減らす」
即答。
「……三百まで」
(それでも多い!!)
そんなある日。
準備疲れピーク。
「……もう無理です……」
私は涙目。
「……全部完璧にしなくても……」
レオンは、しばらく黙って――
そっと抱き寄せる。
「……ごめん、君を疲れさせた。俺は式より君が大事だ」
(……ずるい……)
「……私も」
小さく笑う。
「……レオンがいれば大丈夫です」
二人で、額を合わせる。
その夜書類を片づけながら。
「……大変ですね」
「……でも」
レオンは微笑む。
「君となら全部楽しいし一生分の準備だ」
「はい!」
(めっちゃわかる!)




