第21話 「嫉妬暴走事件」
――数日後。
王都学園・中庭。
昼休み。
私は、ベンチに座っていた。
「……ありがとう、アルト」
向かいには、アルト。
手には、分厚い本。
「いやいや」
「これ、前に探してたでしょ?」
「図書館の奥にあった」
「……!」
(探してくれたんだ)
「助かりました」
私は、嬉しくて笑った。
――ただ、それだけ。
本当に、それだけだった。
その瞬間。
――ずしっ。
空気が、重くなる。
(……え?)
背後。
殺気。
振り向くと――
そこにいたのは。
無表情のレオン。
目が、笑っていない。
(こわ……!!)
「……何してる」
低音。
「……え?」
「……本の話ですけど……」
正直に答える。
アルトも苦笑。
「レオン」
「誤解だって」
「ただ貸しただけ――」
「……黙れ」
即遮断。
(怖いって!!)
レオンは、私の前に立つ。
完全ガード。
壁。
「……楽しそうだな」
「……ずいぶん」
「……俺より」
ぼそ。
「……そ、そんなこと……!」
慌てる。
「……昨日も」
「……一昨日も」
「……一緒にいたな」
「……え?」
(見てたの!?)
「……相談してただけです!」
「……進路の……」
必死。
「……俺は」
レオンの声が低くなる。
「……全部」
「……知りたい」
「……誰と」
「……何してるか」
(独占欲重症……)
「……レオン様」
私は、勇気を出す。
「……私」
「……あなたの恋人ですよ?」
「……信じてください」
まっすぐ見る。
レオン、固まる。
「……っ」
言葉を失う。
アルトは、そっと立ち上がる。
「……じゃ」
「……僕は退散するよ」
「……続きはまた今度」
大人対応。
去っていく。
(いい人……)
二人きり。
沈黙。
風が吹く。
「……ごめん」
レオンが、小さく言う。
「……独占しすぎた」
「……怖かった」
「……取られる気がして」
珍しく弱い声。
胸が締めつけられる。
「……私は」
私は、そっと手を伸ばす。
彼の手を握る。
「……どこにも行きません」
「……レオン様のそばにいます」
はっきり。
レオンは、私を強く抱きしめた。
ぎゅっと。
「……もう」
「……離さない」
「……一生」
「……信じる」
(最後だけ重い……)
その時。
「……お邪魔だった?」
後ろから声。
いつの間にか戻ってたアルト。
「キスする前に」
「止めとこうかと」
「……してない!!」
二人同時。
真っ赤。
アルト、爆笑。
こうして。
嫉妬暴走事件は――
✔ 無事鎮火
✔ 信頼度UP
✔ 甘さ増量
で幕を閉じた。




