第20話 「それってもう、結婚前提では?」
――初デートの翌日。
私は、自室でぼんやりしていた。
(……楽しかったな……)
思い出すだけで、顔が熱くなる。
すると。
コンコンとノックの音。
「リリア入るわよ」
母だった。
「……どうしたんですか?」
紅茶を運びながら、にこにこ。
「あなた」
「最近、楽しそうね」
「……え?」
「顔に出てるわよ」
(ばれてる!?)
「それで」
母は、さらっと爆弾を落とす。
「レオン様と」
「順調なの?」
「……っ!?」
吹きそうになる。
「な、なな……なぜ……!」
「昨日」
「王都で」
「手、繋いでたでしょ」
満面の笑み。
(見られてたあああ!!)
「……あの……」
「……偶然です……」
「……デートです……」
小声で白状。
母、拍手。
「まあ!」
「ついに!」
「長かったわねぇ!」
(え、前から期待されてた!?)
「お父様は?」
恐る恐る聞く。
「もちろん」
「賛成よ」
「むしろ」
「遅いって」
「言ってたわ」
(父まで!?)
その頃。
レオン邸。
「……え?」
「……挨拶?」
レオン、硬直。
父・公爵様、紅茶を飲みながら平然。
「当然だろ」
「付き合っているなら」
「正式に」
「相手の家に」
「行く」
「礼儀だ」
「……っ」
顔、真っ赤。
「……ま、まだ……」
「早くないですか……」
「遅い」
即答。
「お前」
「囲い込みは一流だが」
「覚悟が足りん」
(親、強い)
数日後。
リリア家・応接室
正装したレオン。
人生最大級の緊張。
背筋、直角。
「……はじめまして」
「レオン・ヴァレンシュタインです」
「本日は――」
噛む。
「……リリアさんを」
「一生大切にします」
「結婚前提で」
「お付き合いさせてください」
――直球。
私は、固まる。
(聞いてない!!)
父、沈黙。
母、にこにこ。
数秒後。
「……うむ」
父、頷く。
「誠実だ」
「合格」
早い。
「ただし」
父、続ける。
「泣かせたら」
「許さん」
低音。
「……はい!!」
即答。
軍人並み。
母は、私の手を握る。
「よかったわね」
「素敵な方で」
私は、うるっとする。
「……はい……」
帰り道。
二人きり。
沈黙。
そして。
「……ごめん」
レオンが言う。
「……勝手に」
「結婚前提とか……」
「……嫌だったか?」
不安そう。
(この人……)
「……嫌じゃないです」
私は、はっきり言う。
「……嬉しかったです」
レオン、目を見開く。
そして。
安堵の笑顔。
「……なら」
「一生」
「離さない」
低く宣言。
(重い!!でも幸せ!!)
二人の関係は。
✔ 両親公認
✔ 結婚前提
✔ 逃げ場なし
へと進化した。




