第19話 「私服が可愛すぎて、理性が崩壊しました」
――初デート当日。
王都・中央広場。
待ち合わせ時間は、午前十時。
私は。
鏡の前で、三十分悩んでいた。
「……これ……変じゃないですよね?」
淡いピンクのワンピース。
白いカーディガン。
控えめだけど、上品。
(がんばった……私……)
深呼吸して、家を出た。
広場。
「……まだ来てない……よね?」
きょろきょろ。
すると――
「……リリア」
後ろから声。
振り向く。
「……え……?」
そこにいたのは。
私服のレオン。
黒シャツ+ジャケット。
細身のパンツ。
貴族感ゼロ。
王都イケメン代表。
(かっこよすぎません!?)
尊し。
「……おはようございます……」
かろうじて挨拶。
「……おはよ」
……が。
レオン。
固まってる。
完全停止。
目、見開き。
言葉、なし。
(……え? 大丈夫?)
「……レオン様?」
呼ぶ。
反応なし。
もう一回。
「……レオン?」
「……っ!?」
やっと戻る。
でも。
耳、真っ赤。
「……な、なんでもない」
視線、泳ぎまくり。
(怪しすぎる……)
「……あの」
私、恐る恐る。
「……変ですか?」
不安になる。
すると。
「……は!?」
即否定。
「……ちが……」
「……可愛すぎて……」
途中で止まる。
「……え?」
「……っ!!」
言っちゃった自覚。
顔、爆発。
「……か、可愛すぎて」
「……見れない」
「……理性が……」
ぼそぼそ。
(破壊力……!!)
今度は私が赤くなる。
「……な、何言ってるんですか……!」
「……本当だ」
真顔。
「……今日」
「……ずっと危険」
「俺が」
(自覚あるんだ……)
歩き出す。
並んで。
……のはずが。
距離、近すぎ。
「……近くないですか?」
「……離れたら」
「誰かに見られる」
「嫌だ」
即答。
(独占欲!!)
最初の目的地。
王都・人気スイーツ店。
行列。
「……混んでますね」
「……待つ」
「……一緒なら」
(まさに王道デート!)
並んでいる間。
後ろの男子が、ひそひそ。
「……あの子、可愛くね?」
「貴族っぽい……」
聞こえた。
瞬間。
レオン。
私の肩、引き寄せる。
「……俺の」
低音。
「……え!?」
周囲、ざわっ。
私は真っ赤。
「……声大きいです!」
「……牽制」
真剣。
(本気すぎる……)
カフェ内。
向かい合って座る。
ケーキと紅茶。
完璧デート。
「……美味しいですね」
「……ああ」
……が。
レオン。
ずっと私見てる。
「……食べてます?」
「……見てる」
「……は?」
「……可愛いから」
即答。
(やめて!!)
突然。
「……なあ」
レオンが、真面目な声。
「……今日」
「……正直」
「……ずっと我慢してる」
「……え?」
「……触れたい」
「……抱きしめたい」
「……でも」
「……嫌がらせたくない」
まっすぐ。
(反則……)
私は、そっと言った。
「……少しなら」
「……いいです」
小声。
レオン、固まる。
「……っ!?!?」
次の瞬間。
そっと。
手を握ってきた。
優しく。
大事そうに。
「……ありがとう」
低い声。
心臓、無理。
その頃。
別テーブル。
アルトとミレイユ。
「……あれ」
「もう夫婦では?」
苦笑。
「うんうん、まさに新婚さんって感じ。」
こっちはにまにま。
夕方。
帰り道。
夕焼け。
手、繋いだまま。
「……今日」
「……楽しかったか?」
「……はい」
「……すごく」
即答。
レオン、嬉しそう。
「……なあ」
「……また」
「……デートしよう」
「……今度は」
「……もっと」
「……独占していい?」
「……ほどほどにしてください」
笑う。
彼も笑った。
二人の初デートは。
甘すぎて。
理性崩壊寸前で。
でも――
最高の一日だった。




