第8~11話 (ノーマルサイド)危機的な女の子を救う僕!
8~11話のノーマルサイドになります。これ以上の全年齢向けは私の力量的に出来ません。そう思って、これからもずっと読んでってもらえると嬉しいです。
『ご主人様?あそこのステージに行かれるのですか?』
広場にあるステージに向かって進もうとした僕へ、肩に乗ったサフィが話しかけてきた。
「なんか、ステージがあるから。戦勝のお祝いにライブでもやってるんじゃないかな~と思ってね。」
すっごく盛り上がってるし、こっちのアイドルとかにもやっぱり興味がある。
『あれは、奴隷オークションですよ?ご主人様。』
「へっ?」
ぼくは、思わず間抜けな声を出してしまった。
「奴隷って、あの奴隷?」
『どの奴隷か解りませんが、おそらくその奴隷です。』
スパイ時代、いろいろ汚いこともやったし、時には殺人もしてきた。でも、人身売買はいけないと思う。
『あれ、ご主人様?行かれないのですか?』
踵を返す僕にサフィが尋ねる。
「ああ、それよりどっか宿を取ろう。疲れちゃったから今日は早めに休もう。」
サフィのアドバイスで冒険者ギルドに向かった。なんでも身分証がないと宿もとれないらしい。でも、冒険者ギルドで簡単に作ってくれる冒険者カードで事は足りるんだって。ギルドに向かっている途中、サフィにお金のことを聞いてみた。
「サフィ、お金ってどうなっているの?とりあえず、日本円が使えるって聞いてるんだけど。」
『はい、使えますよ。単位は小さい順に厘、銭、円となっています。10000厘で1銭。10000銭で1円です。』
えっ?じゃあ、僕ものすごくお金持ちになっちゃってるかも。
冒険者ギルドに行くと綺麗なお姉さんが対応してくれた。
「精霊契約者なんて、そんな若いのにすごいですね。」
ほめられると嬉しいがここは日本人。謙遜の心を忘れないようにしましょう。
「いえ、たまたま運が良かったんです。」
「またまた~。まあ、いいです。では、早く手続きやちゃいましょう。」
受付のお姉さんはカラカラ笑いながら、書類を出してくれた。っていうか、名前と年齢しか書くとこないし。とりあえず書くと、冒険者カードを出してくれた。更に指紋を取られた。なんでも、ギルドがやっている銀行の口座の認証に使うらしい。因みに、ギルドは国際組織らしく、何かあっても国家機関のせいで口座が凍結されることはないらしい。早速、持っているお金のうち、1000円だけ残してすべて貯金した。残念ながら利子はないらしい。
1000円のうち10円分を小銭に両替した。仕事を取るつもりはないのでそのままギルドを出ていく。
さて、これで後は宿を取るだけだ。
そう思っていたら、向こうから走ってきた3人組の集団の一人とぶつかった。実際は、避けられたんだけど、3人が何かに追われているみたいだったのでわざとぶつかてみた。ここで、追手をちぎっては投げ、ちぎっては投げすれば、僕かっこいいでしょ。案の定、ぶつかった拍子に足を止めてしまった3人は追手に追いつかれた。今は、僕を挟んで対峙している。
「てめえら、もう奴隷なんだからおとなしくこっちにこねえか。今だったらまだ許してやるぞ。」
なんだか、物騒な物言いだけどどうやら3人は奴隷らしい。さっきのステージから逃げてきたのかな?
双方にらみ合いを続けていると、見るからに変態っぽいおそらく偉そう(エロそう)なおっさんが前に出てきた。
「ミルテアーテ、サラディナーサ、キャニエル。さあ、こちらにおいで。今日から私が君たちのごしゅじんさまだからねぇ~。」
猫なで声で、どう考えてもキモい声だ。でもこう話す変態に対し3人は震えている。
3人はミルテアーテ、サラディナーサ、キャニエルっていうのか。顔立ちから見るに、ミルテアーテが母親で、サラディナーサとキャニエルが姉妹ってとこだろう。
『ご主人様、どうされます?』
「う~ん、居合わせたのも何かの縁だし、助けてあげるか。」
間に挟まれ、いまいち状況がつかめないので、サフィと2人でコソコソと話していると、変態がまた、猫なで声を出した。
「国を滅ぼした張本人の君達を買い取って上げた、この偉大なるエルバトーレ公爵に感謝し、こちらに来なさい。な~に、怖いことなんてなにもないよ。」
これ以上聞いていると、こちらが気持ち悪くなってくる。僕は早々に切り出すことにした。
「あの~、すみません。ちょっと、お願いがあるんですが。」
僕がそう言うと、今はじめて認識をしたというようなリアクションで変態(確か何とか公爵って言ったっけ)がこちらを向いた。
「なんだね、そこの薄汚い少年。」
薄汚いとは失礼な。まあ、外見は15歳なんで少年はいいけど。えっと、それより、
「あなたの買ったっていう奴隷。僕のお母さんや妹達にそっくりなんです。皆、この前までの戦争で死んじゃって、僕一人ぼっちになっちゃったの。この子達、僕に譲って欲しいな。」
「あっはっは、何も知らないガキが何を言う。こいつらは私が一人30円で買ったんだ。うん、そうだな、一人あたり三倍の90円を今ここで払えば譲ってやろう。まあ、出きっこないがな。」
「えっと、3人ってことは270円?」
「ああ、そうだ。このガキは算数がよく出来るな」
「うん、僕勉強大好きだからね。えっと、はい、300円。小銭は嫌いだからお釣りはいらないよ。」
「は?」
変態は、渡された100円硬貨三枚を見て、口をあんぐり開けたまま動かなくなった。仕方ないので、従者らしき人に聞くことにする。
「これでいいんだよね。権利証か何かを貰えればいいの。」
「あ、ああ。」
従者も唖然としていたがとりあえず3人の権利証をくれた。よし、これでオッケイだ。
「じゃ、行こっか。」
こちらでも状況を理解できていない3人を急かしてこの場を去ろうとする。しかし、なかなかそうは行かなかった。
「まて、ガキ。そのまま、ただで帰れるとは思うなよ。」
変態がぱちんと指を鳴らすと、前後に強面のおっさんたちが僕らを取り囲んだ。人数は前に5人。後ろに10人といったところか。
「ふん、こいつら全員を倒せたら認めてやるぞ。精霊と契約しているみたいだが、この人数に勝てるかな。はははははは~~。」
変態はそう言うと馬車に乗って行ってしまった。
『いかが致します?ご主人様?今のままでは、3人を守って戦うのは難しそうですね。』
「僕が後ろ10人を片付けるから、その間、前を任せる感じじゃどう?」
『私は余裕ですが、ご主人様は10人相手にきついのでは無いですか?』
「大丈夫だよ。じゃあ、それでいこう。」
とりあえず、サフィが前に飛ぶのと同じように僕はバックステップで後ろに下がる。こちらからのいきなりの仕掛けに驚いたのか相手は連携もとれないまま出てきた。すぐさまステータスが出てくる。大体10~25レベルくらい。雑魚!!!
僕の拳が入った瞬間3人が吹っ飛び、そのまま、返す勢いで蹴りを入れ4人をノックアウト。そのまま、すっと残りの3人との間合いを詰めて、ワン・ツー・スリー!あっという間に、片付きました。
前を見ると、サフィが5人を風で吹き飛ばしていた。なんか、彼らの腕とかが微妙な方向に向いていたけど気にしない方向でいいよね?
あっさりと片付いてしまって物足りない気もするけど、まずはこの場を離れなくては。
「サフィ、このまま一番安全な宿に案内してくれ。金額は気にしなくていいぞ!!」
『わかりました、ご主人様!!』
まだ、状況がつかめていない3人を連れて、その場を後にした。
次話(明日投稿)より、共通ルートに入ります。




