第31話:伝説
――伝説公園。その聖域の真実を、誰も、そして無垢なケーミッシュたちも当然知らない。
そこはかつて、この地の「英雄」――すなわち旦那様の一族が誕生した実家の跡地。
表向きはカーボンオフセット用の植林地であり、誰も手出しできない「聖地」として神格化させているのでございます。
ですが、その地下深くには、旦那様のテック企業が誇る最新鋭の巨大データセンターが鎮座しており、ビギーや私の高度なAI演算処理も、実はこの「静寂の森」の地下で行われております。
電波障害も産業スパイを排除し、外部の監視を遮断するための高出力ジャミング装置による演出。ケーミッシュたちは、自分たちが「文明の毒」から森を守る戦士だと思っておりますが、彼らカーボンユニットに森を管理させ結果的に不審者を排除することで、旦那様の地下施設を無意識に守る「生体セキュリティ」として機能させているのでございます。
「聖域外の同士を守護する神の恵み」としてとんでもない安価で出荷するハチミツは、伝道師という名の弊社従業員の手を経て、SNSで高値で取引されるブランド品へと「概念の転売」が行われております。そして、ケーミッシュたちは伝道師から受け取った「キルト用の聖布(旦那様の着用した古着。超高級最先端サステナブル素材)」を大切に繋ぎ合わせ、今日も蜂や家畜たちと幸せに暮らしているのでございます。
巨大な籠の中に作られた小さな籠、電設公園。
そこから届いた黄金の蜜は、何も知らない姫の頬を、ただ優しく染めるのであった――
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「今日はなんだかうれしそうね。どうしたの?」
「み…美香子ちゃん… あの…これ…よかったら貰って…」
「?…あ、これ話題のハチミツじゃない?高価で手に入らないやつでしょ?さすがに貰えないわよ」
「ち…違うよ!…これ、僕がとってきたんだ…伝説公園の…採蜜…バイト先のみんなにもあげたから…」
「そうなの?じゃあ、貰おうかな…うん。ありがとう。嬉しいわ!!」
「うん…ど…どういたしまして、美香子ちゃん…」
やった!喜んでもらえた!!誰かのために行動するって、気分いいね!!
心優しい幼馴染と別れ、穏やかな足取りで玄関に向かっていく。そして僕は、帰宅後の静まり返った自室で、スマホを手に取った。
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写真:重なり合ったパンケーキに、とろりと流れる黄金のハチミツ。背景には笑顔の騎士団が見える。キャンピングカー内でVRで採蜜する僕とビギーとClock。二枚の画像。
「今日は、はちみつとりにいったよ〜! 瓶にいっぱいのはちみつです! バイトのみんなとパンケーキ食べてま〜す!
#ケーミッシュ・ハニー #パンケーキ #みんなで食べる」
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名無しさん:
わ! すごい人気のはちみつ! 食べてみたい〜! どこで売ってるの!?
通りすがり:
妖精さんが妖精さんのハチミツたべてる……尊い……。三河の奇跡。
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