表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チーズ姫と凸凹従者 ~街道爆走道中記~  作者: 熊猫太郎
第九章:黄金のハチミツ、電脳の禁足地
31/41

第31話:伝説

――伝説公園。その聖域の真実を、誰も、そして無垢なケーミッシュたちも当然知らない。


そこはかつて、この地の「英雄」――すなわち旦那様の一族が誕生した実家の跡地。


表向きはカーボンオフセット用の植林地であり、誰も手出しできない「聖地」として神格化させているのでございます。


ですが、その地下深くには、旦那様のテック企業が誇る最新鋭の巨大データセンターが鎮座しており、ビギーや私の高度なAI演算処理も、実はこの「静寂の森」の地下で行われております。


電波障害も産業スパイを排除し、外部の監視を遮断するための高出力ジャミング装置による演出。ケーミッシュたちは、自分たちが「文明の毒」から森を守る戦士だと思っておりますが、彼らカーボンユニットに森を管理させ結果的に不審者を排除することで、旦那様の地下施設を無意識に守る「生体セキュリティ」として機能させているのでございます。


「聖域外の同士を守護する神の恵み」としてとんでもない安価で出荷するハチミツは、伝道師という名の弊社従業員の手を経て、SNSで高値で取引されるブランド品へと「概念の転売」が行われております。そして、ケーミッシュたちは伝道師から受け取った「キルト用の聖布(旦那様の着用した古着。超高級最先端サステナブル素材)」を大切に繋ぎ合わせ、今日も蜂や家畜たちと幸せに暮らしているのでございます。


巨大な籠の中に作られた小さな籠、電設(・・)公園。


そこから届いた黄金の蜜は、何も知らない姫の頬を、ただ優しく染めるのであった――




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「今日はなんだかうれしそうね。どうしたの?」


「み…美香子ちゃん… あの…これ…よかったら貰って…」


「?…あ、これ話題のハチミツじゃない?高価で手に入らないやつでしょ?さすがに貰えないわよ」


「ち…違うよ!…これ、僕がとってきたんだ…伝説公園の…採蜜…バイト先のみんなにもあげたから…」


「そうなの?じゃあ、貰おうかな…うん。ありがとう。嬉しいわ!!」


「うん…ど…どういたしまして、美香子ちゃん…」


やった!喜んでもらえた!!誰かのために行動するって、気分いいね!!


心優しい幼馴染と別れ、穏やかな足取りで玄関に向かっていく。そして僕は、帰宅後の静まり返った自室で、スマホを手に取った。



――――――――――――――――――――――――――――――


写真:重なり合ったパンケーキに、とろりと流れる黄金のハチミツ。背景には笑顔の騎士団が見える。キャンピングカー内でVRで採蜜する僕とビギーとClock。二枚の画像。


「今日は、はちみつとりにいったよ〜! 瓶にいっぱいのはちみつです! バイトのみんなとパンケーキ食べてま〜す!


#ケーミッシュ・ハニー #パンケーキ #みんなで食べる」


――――――――――――――――――――――――――――――

名無しさん:


わ! すごい人気のはちみつ! 食べてみたい〜! どこで売ってるの!?


通りすがり:


妖精さんが妖精さんのハチミツたべてる……尊い……。三河の奇跡。


――――――――――――――――――――――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ