空白の6年
「初めまして、ユキ・イオランです!皆知ってると思うけど、『日本』って国から来ました!異世界らしいです!私、貴族のマナー?とかよく分からないんですけど、怒らないで教えてくれたら嬉しいです!あ、あと、私のことは気軽に『ユキ』って呼んでください!」
「結構可愛いな、、」
「なんだか私まで嬉しくなってきますわ。」
「良い子そうね、、」
「では、あなたは、、そうね、レイ侯爵令嬢の隣が空いているわ、、レイ侯爵令嬢、手を挙げていただけますか?」
「ぇっ、、」
「レイ侯爵令嬢?」
「え、あ、は、はい!こちらです、」
そう言うと、彼女は私の席の隣に座った。
「、、、レイ侯爵、、令嬢?で、合ってる?名前は?下の名前!」
「えっ、、え、えぇ、、アリアーテです。」
「アリアーテ!ねぇ、アリアーテって呼んでも良い??」
「い、いきなり呼び捨てはどうかと、、」
「良いじゃないですか、レイ侯爵令嬢。まだこの世界に慣れていらっしゃらないし、」
「そうですよ、レイ侯爵令嬢。別に良いじゃないですか。」
「ぅっ、、え、えぇ、、では、どうぞ、、」
「なんかごめんねアリアーテ!」
「いえ、、」
忘れるはずがない。
私は、ユキ・イオランを知っている。
、、、いや、正しく言うと、時峰悠紀を。
私が転生する前の、、私が、鈴野蒼空だったときの、同級生。
でも、なんで?
私が死んだのは21歳。
あれから15年経っている。
それにも関わらず、私の目の前にいる彼女は15歳。
普通なら、彼女は今36歳のはずなのに。
いくら彼女が若く見えて、綺麗だったとしても、、
この、まだ大人の顔になりきれていない顔は、、私が前世、15歳だったときの彼女にそっくりだ。
私と彼女はクラスメイトだったからよく知っている。
私とは正反対な性格で、クラスの中心だった。
あちらの世界の時間が止まっているのだとしても、彼女は21歳のままこの世界に来るはず。
なのに、彼女は、、15歳。
中身は21歳のままなのか、体と共に15歳に戻ったのか、、
空白の6年はなんだろう?
もし、あちらの世界の時間が止まっているのなら、、
私の転生と彼女のトリップはほぼ同時期に行われたということ。
この世界に入り込む時期が15年間も差ができてしまったということ。
「ユキさん、昼食、ご一緒にどうですか?」
「良いの?!、、じゃなくて、良いんですかー?行きます!」
「まぁ、、ふふ、」
「行きましょう?」
もう、馴染んでる、、
この世界では珍しい黒髪に黒い瞳。
ぱっちりとした大きな目をした彼女はやはり「可愛い」部類に入っている。
、、、実は、私は前世、新島優という男の子が好きだった。
しかし、何故か分からないけれどある突然、私を避けるようになった。
そこで私の初恋は終わり、地味な人生を送ってきたわけだけれど、、
新島くんは、彼女と付き合うようになっていた。
絶対、、何か、裏があると思っている。
正直、あの頃から私は彼女が苦手だった。
私の学園生活が、変わらないでいてほしいと、切実に思った。




