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亡者逃走中 in 現世  作者: 安達夷三郎
第二章、入学早々目立っちゃってます
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八話

報道陣や警察でごった返すホームを抜け、やっと外に出られた。私と美穂ちゃんは、待ちに待ったスイパラへ向かう。


しょーくんは美穂ちゃんに挨拶して、何やら大事な用事があるらしく足早に去っていった。先ほどの亡者に対していつも以上にピキピキしていたのは、そのせいで予定に遅れそうだったかららしい。


「えっと、確か次の角を曲がったところにあるよ」


「本当?楽しみだね!」


「へー、こんなとこにあるんだ」


……と、気がつくと、当然のような顔をして変成くんが私達の斜め後ろを歩いていた。


「なんでついて来るの?」と小声で尋ねると、「どうせ午後からは暇だし、二人が不審者に絡まれても面倒だからね」と言われた。


「楓くんも甘いもの好きなんだね!」


「まぁ、辛いものよりは好きだよ」


わいわい三人ではしゃぎながらお店を目指すと、スイパラはビルの五階の一室に入っていた。


エレベーターを降りると、店前には行列ができており、繁盛しているようだった。


私達はそこの最後尾に並び、順番を待つ。


「結構混んでるね〜!」


美穂ちゃんが列の前方を覗き込みながら、嬉しそうに言った。


「土曜だしね。甘いもの目当ての人、多いんだよ」


「なるほど」


数分待っていると、ようやく店に入ることができた。


席に案内され、お皿を持ってケーキなどが並ぶテーブルに向かう。


白いテーブルクロスの上には、色鮮やかなショートケーキやチョコレートケーキ、旬の果物をふんだんに使ったムースやゼリーが宝石のようにずらりと並んでいる。


さらにその隣には、お味噌汁やうどん、カレーやパスタといった、充実した軽食の列まで用意されていた。


(凄い……!!)


初めて目にする夢のような光景に圧倒され、お皿を持ったまま呆然と立ち尽くしていると、すでに手際よく一皿目を盛り終えた美穂ちゃんが、私の肩を優しく叩いて声をかけてくれた。


「あっちの方に果物もあったから。私戻っとくね〜」


と言って、テーブルに戻って行った。


果物もあるなんて……もしかしてスイパラって天国!?


どれにしようか迷っていたら、前を向いていなかったので、誰かに肩がぶつかってしまった。


「すまない。怪我はないか?」


「あ、すみませ―――」


顔を上げて目が合った瞬間、思わず息が止まった。


ぶつかった相手は、手に桃のムースを持ったしょーくんだった。


「え!?」


「は?」


しょーくんは私を見て固まっている。私も固まっている。


「まさかこんな所で会うとは……」


「それはこっちのセリフだ……」


しかし、しょーくんは何も乗っていない私のお皿を見て、形の良い眉をひそめる。


「何も乗ってないじゃないか」


「あー……沢山種類があってどれにしようか迷ってて」


「軽めの方が私は好きだが……甘いものの後に軽食を挟むと胃もたれせずに食べられる」


そう言って、しょーくんは自分の皿に乗っていた桃のムースをひとつ、私の皿にそっと乗せた。


「え、良いの!?」


「良い。別に取りに行けば良いだけだからな。それに桃は美味い」


ぶっきらぼうに言いながらも、ちゃんとおすすめを教えてくれるあたり、なんだかんだ優しい。


それからしょーくんのおすすめを何個か教えてもらい、テーブルに戻る。


「おかえり〜」


「遅かったね」


テーブルに戻れば、すでにケーキと果物を幸せそうに頬張っている美穂ちゃんと、なぜかお洒落なキャラメルマキアートを片手に優雅に微笑んでいる変成くんが楽しげに談笑していた。


(仲良くなってる……!)


「このケーキ美味しいよね〜」


美穂ちゃんがうっとりとした表情で呟く隣で、私はレアチーズケーキに手を伸ばす。


ぱくっと一口食べると、口の中に爽やかな酸味と甘みが広がって……


「美味しい!」


めちゃくちゃ美味しかった。


「へー良かったじゃん」


頬杖をつきながら変成くんが言う。


それからスイーツや果物や軽食を食べて、満腹のままお会計を済ませて店を出た。


「美味しかった〜」


「ねー!あんなにコンソメスープが美味しいなんて……」


そう。初めはスイーツを中心に食べていたのだが、甘いものの後に食べるしょっぱいものは美味しい!ということに気づいてからは、甘いものと交互にコンソメスープを飲んでいた。


最後らへんは、そればっかり飲んでいた。


コンソメスープやらカレーなどが置いてあった理由がなんとなく分かった気がするよ。


あれは、激甘対策だったんだね……!


美穂ちゃんと別れて帰り道を歩く。しばらく歩いていると、スーパーの看板を見つけて、ハッと思い出した。


「閻魔にお土産買ってくるの忘れた……」


(流石に閻魔だけお土産あげないのも何だかなぁ……黒鬼さんには胃薬買ったし)


結局、スーパーで板チョコを一枚購入。これで閻魔へのお土産も安心だ。


「よし、これでいっか」


「まぁ、あの人のせいで俺達が尻拭いさせられているからね。むしろ板チョコ一枚でも贅沢すぎるくらいだよ」


変成くんが「良いんじゃない?」と苦笑した。

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