073⚫️静かな評議場
あなたたちは、まだ戦えと言う。
これ以上、何を望まれるのか。
既に相手に制宙権は無いに等しい。更なる進軍に、何を期待されるのか。
完全な勝利? 完璧な統一?
その虚栄のために、破壊行為を続けろと言うのか。
双方の損害が軽微なうちに和平条約を結ぶ。
それに何の差し障りがあるというのか。
権益? 有利な取引? 勢力の拡大?
誰かから簒奪したものを、あなたたちは子や孫に誇るというのか。
歴史が繰り返してきた愚行から、我々は何も学ばないのか。
苛烈な対応は憎しみを生む。憎しみは新たな戦いの火種となる。
この明白な事実を知らないとは言わせない。
敵対を乗り越え、
傷を癒やし合い、
相互理解を深めることこそ、 次世代への本当の遺産となる。
なぜ、それを疑うのか。
わたしは職を辞す。
良かれと思い知恵を巡らせた結果がこれならば、
まだ死者の数が足りんと言うのならば、あなたたちが前線に立てばよい。
失礼する。
普段、温厚な人が怒ると、本当に怖い。
評議場は凍りついたように静まり返り、ただ提督を見送るだけだった。
「ヒロ、俺たちの報告が届く前に、カモミール提督が辞任したらしいぞ。」
「それはカモミールじゃなくて、ラベンダー。ロイ・ラベンダー提督だよ。」
「流石だな。俺は固有名詞は憶えられん。」
「ヤマト、固有名詞だけじゃないじゃん・・・。」




