058⚫️強烈?!パイレーツ!
宇宙海賊?今どき流行らねえな・・・。
窓の外、黒い艦体が寄生虫みたいに船腹へ食らいついて来る。
ドミナの差し金かとも疑ったが、あの下品なドクロ塗装と無造作な接舷。
ありゃ本物の海賊だ。
軍人ならもっと効率的に追い詰める。だが、通信封鎖はしているぞ。
通常の端末では、誰も外部に連絡ができないし、
どんなデータにもアクセスできない。
このあたりは、さすがは海賊、抜け目がないな。
レストランはパニックに陥る。悲鳴、祈り、震える手。
だが、俺の隣の子どもは違った。
ヒロはフォークを置き、
読みかけの本の続きを思い出すみたいに視線を宙へ投げた。
「バルバロッサ・クラン一家だよ。構成員32名。首領はギル・バートソン。過去3年で襲撃8回。狙いは貴金属と富裕層の身代金。指名手配リスト108位。海賊部門では2番目だね。」
おいヒロ、そんなもんまで覚えてるのか。
「公安部のデータ。画像も数字も劣化なしで、ボクの中に残ってるよ。」
淡々と説明というか、解説というか、が続く。
「この一家は、制圧後に労働力として整備士と医者を真っ先に探すんだ。自分たちの船に足りない人材を補充するためにね。ボクたちのプロフィールは2等キャビンにいる、ただの観光客の’叔父と甥’だよね。と言うことは、ボクは10歳未満の’役立たず’。商品価値は低いな。」
なるほど。軍隊なら情報を握る者を探すが、海賊はもっと単純だ。
金になるか、役に立つか。
ちょっと待て!ってことは、ヒロ、お前、命が危ないんじゃないか!
「ヤマト、連中の手口がいつも通りなら、そろそろ来るよ。」
その瞬間、防護扉が爆砕した。
煙の中から強化服の荒くれどもがレーザー銃を構えて現れる。
「動くな!命が惜しけりゃ、カネメのもんをテーブルに出しな!」
野太いな声が響く中、俺はヒロを庇いながら’内部周期’を探った。
よし、谷間を抜けて出力が上がり始めている。
海賊船が離舷し砲撃する猶予を与えず、対応しなければならない。
「いいか。取り敢えず、ただの怯えた子どものフリをしてろ。」
「わかってるよ。でも一つだけ。この5人の銃は不良品だよ。たぶん撃てない。おととしの’銃器メンテナンス年報’に載ってた、回路に欠陥のある旧型だ。」
ヒロは表情を変えず、俺にだけ聞こえる声で言った。
なんだとお!
やれやれ。ある意味で、強烈なパイレーツだな。




