039⚫️思いをのせて 時空をこえて & 040⚫️元の鞘に収まる
039⚫️思いをのせて 時空をこえて
「よいな、アーサー。・・・テレーゼ、頼んだぞ。」
「父上。そんな弱気なことを。ご心配には及びません。姉上と共に、王国は必ず守ってみせます。」
テレーゼもまた、ベッドの上の王を、じっと見つめていた。
「ロイ・・・。ウィル・・・民を・・・。」
「陛下・・・陛下! 陛下・・・!」
王の傍らには、代々伝わる宝物・・・一振りの短い剣が置かれていた。
それは、アーサーが受け継ぐことになる’王の証’だった。
040⚫️元の鞘に収まる
ラベリアとの死闘において、ロイが選択した戦法は、あまりに苛烈な「焦土作戦」だった。ボレリアの首都ヴァルミラ。その象徴たる城が崩落したとき、数多の宝物もまた、等しく灰燼に帰した。
しかし戦後、アークエンジェルたちが介入した。星雲系さえ修復し得る強大な能力を全開にし、ロードの許可を待たずして、国の完全復旧を断行したのである。
寸分違わぬ姿で、家々はより強固に、田畑はより豊かに再構築された。
城も、その奥底に眠る宝物も、同じ物質・同じ組成で再現されたのである。
だが、ただひとつだけ、例外があった。
猛火の中で唯一、無傷で残っていた宝物。
あの一振りの短い剣だけは、刀身の先から、柄に覆われていた不可視だった部分に至るまで、焼失前のそのままの姿でそこに在り続けた。
再現を必要としなかったのは、唯一、この剣だけだったのだ。
そのため、柄や鞘を復元するだけでよかったのである。
剣は、その誕生からの長い歴史をくぐり抜け、
文字通り、元の鞘に収まったのである。




