037●おごるぞ & 038⚫️時がきた
037●おごるぞ
ーマイロードが、自らお出ましになるなんて。
ーブリッツって、そんなに特別なの?
ーまっ、リョウマが絡んでるからね。
ーでも、それだけじゃないよね。
ーあの世界線は、次の次の、も〜と次の時代へ繋がるのよ。
ーああ。俯瞰してみると、なるほどなのね。
ーリョウマ、いい仕事してるんじゃないの?
ー今度、おごっちゃおう!
ーヒューマノイド形態の時にしてあげてね・・・。
038⚫️時がきた
宇宙艦艇を降りる。サラもほっとしている。よかった・・・。
ブリッツさんの生命力には驚いた。
あの深手では、持たないと思っていた。
キャサリンさんはサラの手を握り、涙を流していた。
ブリッツさんはいつもどおり無愛想。ただ、「感謝する」とだけ言った。
ふたりの子どもたちも、何度もお礼を言ってくれた。
コロニーは救われた。
宇宙艦艇はハッチを閉ざしたまま。
人工知能は僕たち以外を拒絶するように、沈黙している。
それでも、多くの人が恐る恐る見物に来る。
カンナを先頭としたに子どもたちは遠慮なく、
その巨体に登り、触れ、はしゃいでいた。
「私が穴を見つけたのよ!」
誇らしげな彼女の声が響く。
この場所は‘巨竜伝説’として語り継がれ、
この先、何世代にも渡ってコロニーを守る抑止力になるに違いない。
数日の後始末を終え、僕たちは浄水場の濾過装置の点検に来た。
問題なし。ん? サラ、どうしたの? なんで僕を見つめてるんだ?
「あのね、ジム・・・。もし・・もしね・・わたしがずっと生きていて、ほんとはいろんなことができて・・・この世界線に来るかもしれないって知ってて・・・もちろん、自分でもがんばってきたし、あなたのことも大切に思ってる。でもね・・・もし、わたしが’使命’を帯びてここに来てるとしたら・・・それでも、今までどおりでいてくれる・・・?」
なんて綺麗な瞳なんだろう。
いや、よくわからないよ。サラ、君は何を言っているんだ?
「あっ、そうか! いつもその手にはひっかからないぞ!またからかってるんだろ、コラあ!」
サラは一瞬きょとんとして、それから弾けたように笑い出した。
笑いながら水源の周りを駆け出す。
ゼッタイに捕まえてやる!
いつまでも手玉に取られてる僕じゃない。
追いつく。
ふたりで転ぶ。
そのまま大笑いしながら見つめ合う。
綺麗だな。本当に。
優しいな。助かったよ。
これからも、そうでいてくれるかな。
ふたりの唇が、自然と重なった。
その瞬間・・・
世界の境界が溶け出すような穏やかな光が、恋人たちを包み込んだ。
・・・跳躍の時が来たのだ。
ねえ、父さん、あのふたりは魔法使いだったの?
魔法じゃない。科学だ。
へー。科学っていう魔法なのか。どこいっちゃんたんだろ?
さあな。




