028⚫️苦戦 & 029⚫️戦力は出し惜しみしないぞ
028⚫️苦戦
いけない、父さん!
相手の矢が多すぎる!
こっちの銃撃で倒す数より、次々と現れるターゲットの方が多い!
しかも、不発弾が混じってる!
だめだ、このままじゃ押し切られる。撤退しよう!
父さん!だめだ!!行っちゃいけない!
029⚫️戦力は出し惜しみしないぞ
ブリッツは、仕上がったばかりの弓に矢をつがえた。
エイブが今の力をすべて込めた、魂の宿る弓だ。大きくしなる。
この俺が、報酬もなく的を狙うのか。
随分とかわっちまったな、’破壊神’。
そう思うと、内心おかしくて仕方がなかった。
数々の依頼を受け、数多を葬ってきた自分が、
今は家族と仲間を守るためだけに戦っている。
笑わなくてどうする?
放たれた矢は銃弾のように正確に目標を貫く。
だが、矢は尽き、やがて戦場は泥沼の肉弾戦へと縺れ込んだ。
多勢に無勢。それでもブリッツは止まらない。
ピークを過ぎた体力を、血肉に刻まれた技術と経験で補う。
囲まれないようステップを踏み、急所を突き、離脱する。
喉は干上がり、呼吸は焼けるように熱い。
手にした‘厄介モン’製のナイフだけは、
一度の刃毀れもせず、持ち主の手に馴染んでいた。
こいつは裏切らない。
長年連れ添ってきた相棒だからな。
どこかで声がする。
ー俺の相棒は、このライフルさ、なんて小説みたいにいくのか?
フン、何を言ってやがる。
ージン、戦力の出し惜しみはするな、って言ったじゃないか!
それはそのとおりだ。
最後の一発、’厄介モン’の特殊弾。
使うか?この乱戦で?
その時、遠くに敵将の姿が見えた。
しめた。
ブリッツは懐から、一発限りの単発銃を抜き放つ。
標的は動いている。前には邪魔な敵兵。
だが、この弾丸ならば遮蔽物など関係ない。
狙いを定める。意識が針の穴を通るほどに研ぎ澄まされる。
今だ!指が引き金を絞った。
その刹那。
音もなく、彼の背に一本の槍が深々と突き刺さった。




