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「兄さんは、
きょとんとするかもしれないけど、
僕は、
もう中年で、
人事は尽くして、
今の生活が、あるわけなんだな…。
で、
僕は、
まだ欲するものは、
あって、
現状、
今の生活の動線上に、
それが出てくるとは、
到底、思えない…。
だから…」
「『マルチ ヘルメット』に、
賭けてみると?」
「…うん!」
「おまえも、
知っていると思うが、
『マルチ ヘルメット』で、
合格すると、
社会的に存在が消える…という…。
だから、
世間では、
『マルチ ヘルメット』で、
ユートピア、楽園に行った人というのは、
全く認知されない。
行けなかった人が、
また、この社会で、
生活しているのを、
俺たちは、ただ見るわけだ…。」
通説で、あった。
兄が言うことを、
僕は至る所で聞いていた…。




