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僕はというと、勝手口から出た瞬間、足を
滑らせ転倒。直ぐさま起き上がって駆け出
したけど、門に着いた時には、奴等は既に
住宅街の暗闇に紛れてしまってた。
遠くの方でサイレンの音がしてた。
息を切らせて茫然と門の外に立っていると
紗英が来て僕にしがみついた。
「ああ啓太…無事で良かった!」
「うん…だけどビューティーを助けられ
なかった。…アイツ、男の腕に噛み付い
たまま連れて行かれちゃった」
「警察には通報したよ…ビューティーは
偉かったよね…」
そう言って紗英は泣き出した。
「うん、アイツは凄いよ。ビューティー
が居なかったら、僕たち無事でいられた
か分からないよね…」
あの小さな体で男の腕に必死で噛み付いて
たビューティーの姿を思い出すと、僕も涙
が出て来た。
僕等は抱き合ってしばらく泣いてた。
◇◇
その後、パトカーは来るわ救急車は来るわ
見物人は来るわで、深夜の住宅街は大騒ぎ
になった。
僕等は朝方まで現場検証や事情聴取で大変
だった。
あの二人組の強盗は逃走中、警邏中の警察
官達に取り押さえられたそうだ。
ビューティーと一緒に…。
調べによると、奴等は高齢者世帯ばかりを
狙う強盗団だった。
あの夜は手違いで、闇バイトで雇ったはず
の見張り役が来ず、奴等は間違って僕等の
家に押し入ったらしい。
ビューティーは死ぬまで、あの男の腕に噛
み付いていたそうだ。棍棒で強く頭を殴ら
れたせいで、彼の亡骸は酷い有様だった。
僕と紗英は後日、警察からビューティーの
遺体を受け取ると、伯母さんが好きだった
庭の花壇の横に彼を埋葬した。
その後しばらく、僕たちは放心した様に
日々を過ごした。
臆病で神経質だが、人懐っこくて甘えん
坊だったビューティーの姿が目に浮かん
では消えた。




