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ビューティー  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
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5

僕はというと、勝手口から出た瞬間、足を

滑らせ転倒。直ぐさま起き上がって駆け出

したけど、門に着いた時には、奴等は既に

住宅街の暗闇に紛れてしまってた。


遠くの方でサイレンの音がしてた。



息を切らせて茫然と門の外に立っていると

紗英が来て僕にしがみついた。


「ああ啓太…無事で良かった!」


「うん…だけどビューティーを助けられ

なかった。…アイツ、男の腕に噛み付い

たまま連れて行かれちゃった」


「警察には通報したよ…ビューティーは

偉かったよね…」


そう言って紗英は泣き出した。


「うん、アイツは凄いよ。ビューティー

が居なかったら、僕たち無事でいられた

か分からないよね…」


あの小さな体で男の腕に必死で噛み付いて

たビューティーの姿を思い出すと、僕も涙

が出て来た。


僕等は抱き合ってしばらく泣いてた。



◇◇



その後、パトカーは来るわ救急車は来るわ

見物人は来るわで、深夜の住宅街は大騒ぎ

になった。


僕等は朝方まで現場検証や事情聴取で大変

だった。



あの二人組の強盗は逃走中、警邏中の警察

官達に取り押さえられたそうだ。


ビューティーと一緒に…。


調べによると、奴等は高齢者世帯ばかりを

狙う強盗団だった。


あの夜は手違いで、闇バイトで雇ったはず

の見張り役が来ず、奴等は間違って僕等の

家に押し入ったらしい。



ビューティーは死ぬまで、あの男の腕に噛

み付いていたそうだ。棍棒で強く頭を殴ら

れたせいで、彼の亡骸は酷い有様だった。


僕と紗英は後日、警察からビューティーの

遺体を受け取ると、伯母さんが好きだった

庭の花壇の横に彼を埋葬した。



その後しばらく、僕たちは放心した様に

日々を過ごした。


臆病で神経質だが、人懐っこくて甘えん

坊だったビューティーの姿が目に浮かん

では消えた。

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