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ビューティー  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
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4/6

4

事件が起きたのは、紗英がこの家に来て

三カ月が過ぎた頃だった。


彼女と二階の寝室で寝ていた僕は、物音

で目が覚めた。



一階の方で、何だかドッタンバッタン音が

する。ビューティーの唸り声が聞こえた。


紗英も目を覚まし、僕等はそっと階下に降

りた。二人ともパジャマ姿だ。


玄関まで来ると、僕は置いてあったゴルフ

バッグからアイアンクラブを二本抜いた。

一本は紗英に渡す。



フットライトを頼りに廊下を進んで角を曲

がると、僕等の眼前で信じられない光景が

繰り広げられていた。


伯母さんの衣装室の前で、ビューティーが

二人組の男と格闘していたのだ。


ビューティーは男達の足に噛み付いたり離

れたりしている。


やがてビューティーは、物凄い唸り声を上

げながら、ナイフを持った男の右腕に噛み

ついた。


男がナイフを取り落とす。


男は必死で腕を振り回し、ビューティーを

壁にぶつけて引き離そうとした。


だがビューティーは、男の右腕にしっかり

と噛み付いたまま離れない。


もう一人の男は、棍棒の様な物を持って

ビューティーを狙ってる。



僕は紗英に小声でこう言った。


「紗英、電話して! 警察呼んで!」


彼女は頷くと、ゴルフクラブを抱えたまま

小走りで玄関の方に戻って行った。



僕は怖くて脚が震えてたけど、とにかく

ビューティーを助けたい一心だった。


壁のスイッチに手を伸ばし、廊下の電灯を

全て点けると、僕は近所中に響く様な大声

を出した。


「お前ら! 人の家で何やってんだ!」


目出し帽を被った男達がハッとした様に

僕の方を見た。



僕がゴルフクラブを持って参戦すると、

奴等は分が悪いと思ったのか、素早く

勝手口の方に逃げ出した。


僕は一人の男の背中をゴルフクラブで

思いっきり殴ってやった。


その男は「アーッ!」と悲鳴を上げたが、

そのまま先頭の男に続いて勝手口から外

に出た。


ビューティーはまだ、先頭を走っている

男の腕に噛みついたままだ。


「うわあああー! この犬、何とかして

くれよー!」


男は悲鳴を上げながら、後ろの男と一緒

に門の外へ逃げて行った。

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