彼の特異な才能は。
向かいにいるのは多数…大体50匹程度のモンスター。多種多様な敵性生物が俺たちに狙いを定め、今にも飛び掛かろうと猛ダッシュでこちらに来ている。
もしかしたら人によっては50体?少なくね?と、思う人も居るかも知れんが、俺達は先程ログインしたばかりの初心者も初心者。ビギナーだ。
レベルは当然1だし、持っている武器・防具も弱い。というか必要最低限の初期装備だ。
俺の隣に立ち、身構えている白髪赤目の少女―――白桃は所持している『固有スキル』、【物質変化:刀剣】で武器を生成出来るが、しっかりとMPを消費するので戦闘終了まで持つかは分からない。
俺の持つ『固有スキル』、【鏡魔法】も同様だ。
スキルレベル1から使えるアーツ、『鏡の盾』も一回発動する毎に5MP消費する。
これでは20回発動したら俺は棒立ちするしかない。
……いやそんな事は流石にしないが。
そもそも、しっかりと武器屋で耐久力がクッソ高い所しか利点が無いような、初心者シリーズの内の一つ、『初心者の短剣』を買っているしな。
まあそんな泣き言の様な事を言っても仕方が無いので、目前まで来ているゴロゴロと転がる石型のモンスターに目線を向ける。
そして、手を正面―――相手の方へ。
石型のモンスターが向かって来る速度を計算し、所定の位置に発動させる様、意識を固定し、短い単語を紡ぐ。
「―――『鏡の盾』」
生成し終わるのと全く同時に、鏡と石が衝突する。
すると、鏡が割れる演出と、赤と青が弾ける様な綺羅びやかなエフェクトが舞った。
……綺麗だな。今時のゲームは凄い。たった一度ガードするだけでこんなキラキラとした物が出るのか……
と、完全に時代に乗り遅れたおっさんの末路の様な事を考えていたら、白桃から驚愕する様な声が出た。
「じ、ジャストクリティカルガードぉ!?」
「ん?何だそれは…?」
「えっとそれは……」
と、白桃が喋り始めるのと同時に、敵が…先程の石型モンスターの様な、足の早い敵からドンドンとこちらにやって来るので、再び『鏡の盾』と詠唱をする。
『鏡の盾』の最大同時生成可能数は3つまでなので、今回は3つ同時に出してみる。
パパパリーン……!と、爽快な音が流れる。
全ての鏡から、赤と青のエフェクトが舞う。
「な……なななな……」
……何故か壊れた機械の様になった白桃に呼びかけ、目を覚ましてもらう。
「……白桃、結局ジャストクリティカルガードって何なんだ?」
「……はっ!…そ、そうだね、ジャストクリティカ———いや、長いから取りあえずJCGでいいや。JCGは正しく、決定的な守り。まあそのまんまだね。他にもそれぞれJCAとかもあるけど……今は良いかな。それは兎も角、VRゲームで常に動いている敵に当てるのは偶然か奇跡か、それとも圧倒的なPSか……なんだけど……普通にサクサク当てちゃってるね……」
「まあこれくらいの事なら……『鏡の盾』」
「凄いなぁ……って!私も戦わないと!」
そうして感激の様な声を漏らした白桃も前線に加わる。
そこで、俺はある違和感に気付いた。
「———MPが減っていない……?」
ふむ……?どういうことだ?
白桃ちゃん Σ(°□°; )「あわ……あわわ……」




