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FreedamAbility・Online  作者: 2You
『やつれ黒鏡と白刀少女』

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5/11

初陣。



 白桃(はくとう)という少女と共に『平原と貿易の街 トレードコア』の北門をくぐり抜け、新たなフィールドに入る。

 トレードコアの周辺には『コアード平原』という広域に広がる平原がある。

 大量に生えている草は障害物がないことを良いことに、気持ちよさそうに風に身を任せている。

 燦燦(さんさん)としている太陽と、少しづつ吹く風の合わせ技がとても心地(ここち)よい。


 ……こんなに晴れた気持ちになるのは中々に久しぶりかも知れんな……


 そんな他人には一切関係なく、誰も興味がない事を呟きながら、辺りをもっと詳細に確認する。

 所々に薬草か何かの植物や、魚が釣れそうな池、石材や鉱石が採れるであろう大岩など、様々なオブジェクトが設置されている様だ。


 勿論の事、人を発見すれば襲ってくる、モンスターと呼ばれる敵性生物も居る。

 角が付いている兎に、一頭身の、更に体が石のみで出来たのゴーレムらしき生物なんてものも存在する。

 そしてテンプレではあるが、外側に行けば行くほど敵は強くなっていく、という仕様である。


 取り敢えず戦わないと何も始まらない、と思い、そこら辺に歩いていた角兎……『ホーンラビット』という本当に兎なのか?と疑う程全く可愛くない見た目をした兎に向かって進む。

 パーティでの初戦……いやそもそも二人とも初戦闘ではあるが、まあどっちにしろ初戦だ。

 ……気を取り直して、初陣(ういじん)は白桃(はくとう)が行うことに。


「いくよ~!」


 そう言い、そこら辺に落ちていた小石を手に持ち、詠唱する。


「【物質変化・刀剣】!」


 小石は一瞬淡く光り、その形を変えてゆく。細長い”棒”だった物は区(まち)という境界線が存在する事により上身(かみ)(刀身)と茎(なかご)(持ち手)に分別される。先端は鋭く、全体的に薄く。

 特殊なスキル(能力)によって、ただの小石が片刃(かたは)の湾刀(わんとう)———”太刀”に変化した。


「おお……み、短い……」


―——が、流石に小石のサイズで普通サイズの太刀を作り出すことは不可能で、その尺は太刀というより刃長2尺(約60㎝)程度の、小太刀である。


 だが、白桃は気を取り直し、構えを改めた。

 小太刀を右腕と共に前方に突き出す。親指と人差し指だけで持ち、他の指は力を抜いていく。

 左手は腰に添え、余分な力を抜き、半身で直立する。


 そして、肘を曲げ、兎に切りかかる。

 兎の目と先の前まで近づき、切り取る。


 その攻撃はシステムでクリティカル判定を叩き出し、一発で討伐した。


「よしっ!倒せました!」

「凄いな……」


 正直初期の兎にここまでやるか?……とは思ってしまったが、普通に刀剣の技量は高い。高すぎる。

 本当に俺程度が同じパーティに入っていても良いのか?とも思ってしまったが、その分俺も全力で挑めばまだマシなはずだ。

 変えるのは環境ではなく自分、だな。


 さて、次は俺の番だ。

 標的は……

 そう考えていたら、次の瞬間、自然では起こらないであろう振動と騒音が鳴り響く。


 ズダダダダダダ……!


 その音がする方向を向けば、モンスターを引き連れ全力で逃げている人間が居た。


 ……こっち側に向かいながら。


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