白桃と言う名の少女
「「あっ……」」
武器屋で武器を取ろうとした時、誰かの手と重なってしまった。
俺はその事を当人に謝ろうと、その方向に向き変える。
「すみません」
「こちらこそごめんなs――ぅわえっ!?」
その人物は、透き通る様な純白に一部真紅の長髪、そしてまるでルビーの様な瞳の美少女だった。
……所でその驚き声は何なんだ?
「何かあったか……?」
「あっ!いえ、何でも無いですよ!」
まあ、喋る気が無いならそれで良いか。そんな無理矢理聞くほど気にしてないしな。
(……こ、この人……顔が死んでる……やつれてる……え?大丈夫?急に倒れたりしない!?)
ちょっとした百面相になりながら小声で何かを言っている。
本当にどうしたんだろうか。
(う~ん……悪い人じゃ無さそうだし一旦……)
「……あの!私白桃と言います!折角のご縁ですし一緒にパーティを組んでくれませんか?」
「……パーティ?…あー、そういえばチュートリアルでそんな物があったような……」
……というかそもそもこんな三十路のおっさんと組んで嬉しいのか?
まあ本人が良いなら別に良いか。
「まあ、いいぞ。あ、でも明日も早朝から仕事があるから大体毎日20時から22時位までしかログインできないのは知っておいてくれ」
「なるほどです……」
「あと、敬語じゃなくても良いぞ。俺だけ一方的に敬語って言うのもあれだしな」
「! ……わかった!じゃあ取り敢えずフレンド登録しよう!」
「了解」
えーっとフレンド登録……これもチュートリアルで学んだな。
『メニュー』、『フレンド』から『フレンド検索』で、最近関わった人で調べる。
そこには唯一『白桃』と言う文字が記されていた。
既に目の前の少女―――白桃から申請が来ているらしく、了承ボタンと拒否ボタンが出て来ていた。
―――承認、と。
その後フレンドが追加されたとの趣旨が頭の中に響き、白桃からの助言で『固定パーティ』の設定も完了した。
「それじゃあカガミ、早速狩りに出かける?」
「結局武器は買わなくても良いのか?」
俺の目線の先には既に俺が購入済みの『初心者の短剣』があった。
……ウィンドウから武器を購入した瞬間目の前の武器が消えて、直ぐさま全く同じ物が出てきた事には驚いたが、それは置いておく。
「私の固有スキルは【物質変化・刀剣】って
いう物で、武器種:刀剣限定だけど色んな物質を変化させてどこでも武器を作れるから武器を購入する必要は無いんだよ」
「凄いな。あ、俺の固有スキルは【鏡魔法】だな。攻撃を反射出来る鏡を作り出すことが出来るらしい」
「なるほど……攻撃を反射かぁ……」
「因みに言っておくが、駄洒落にしたつもりは無いぞ」
「あはは、でも結局駄洒落にはなってはいるけどね~」
「思いつかなかったからな。苦肉の手段だ。」
「おぉ……まさかの固有スキル考えてなかったのかぁ……」
「……そもそもこのゲーム自体今日、両親から急に送られてきた物だから良く分かってないんだよな……」
因みに白桃が武器屋にやって来たのは『この世界での武器はどんな品質なんだろう…?』という感じで見に来たらしい。……流石にVR内での話だよな…?
まあ、そんな事を話しながら、俺たちはフィールドに向かって歩いて行った。
……事務的な会話以外は久しぶりだな……と。そう、思いつつ。




