武器屋で出逢う。
『FreedamAbility・Online』……通称AFOの世界に降り立ち、最初に目に映ったのは大勢の人間だった。
辺りには赤、青、黄色…と様々な色に染色をし、多種多様な髪型をした人がごった返している。
……若いって凄いな…俺みたいないい歳したおっさんになるとそんな色の髪は恥ずかし過ぎて外に出れないかも知れない…
そんなくだらない事を思いつつ、ここでは邪魔になる、と考え歩を進める。
建物は中世ヨーロッパ風の淡くて薄い、砂の様な色のする石で作られた、王道なファンタジー作品で良く見る物となっている。
道―――石畳の端には露店が複数立てられ、必死に客を呼び込む。
喧騒が喧騒を呼び、笑う人や怒鳴る人、泣く人など沢山居る。
「……まずは何をしようかね……」
何も知らないでこの世界にダイブしたからな。
あー……でもチュートリアルで武器を買っていたから……買うか、自衛用に。
俺には一応【鏡魔法】という立派な魔法があるからな。
でも万が一魔法が打てないぐらい接近されたら死にそうだから。俺は死にたくない。
「あー……確か…―――『マップ』」
俺はそう唱えると、基本設定の時に出てきた様な半透明の板が目の前に出てきた。
その板には、現在地やその周辺の地図、更には街の施設がどこにあるか、までもが見られる。
因みにこの街は『平原と貿易の街 トレードコア』と言うらしい。
……『トレードコア』……何とも安直なものだ。
まあそれは俺的には助かっているが。とても分かり易い。
「武器屋は……あっちだな」
地図に表示されている方向に歩く。
すると、看板に横向きの剣と共に『武器屋』という看板が置かれている建物を見つけた。
……滅茶苦茶分かりやすいな。本当に。
ドアベルが鳴る武器屋のドアを開け、『失礼します』と一言を入れてからそこに並んである、木や鉄、更には鋼で作られた武器防具を軽く一服する。
……全体的に高めだな……
木の段階で数千円、鉄は数十万円、鋼なんて百万以上する。
因みに初期所持金はたったの千円のみなので、買えるのは750円の『初心者武器』シリーズだけである。
『初心者武器』シリーズは、刀身、持ち手、その武器の全てのパーツが木材で出来ている。
耐久値が信じられないほど硬い代わりに装備としての上昇値はほぼ無く、恐らくスキルを取得する為だけに作った、等の運営事情を考えてしまう、完全に最初しか使わないであろう代物である。
そんな『初心者武器』シリーズから俺が選んだのは、『初心者の短剣』である。
その『初心者の短剣』に手を伸ばし、取ろうとすると―――
「「あっ……」」
どうやら同時に手を伸ばしたらしい少女の手と打つかってしまった。
……俺は何かしらの恋愛シミュレーションゲームの主人公か……?
俺は、そんな三十代を超えたおじさんには絶対巡り会わないような事を考えながら少女に打つかってしまったことを謝ろうとするのだった。




