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ポルター 死亡フラグと騒霊騎士  作者: めざしと豚汁
最終章『未練』

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前程万里

ポルターは雷に撃たれて飛び起きた。


「痛えええっ…!」


「私が何度起こしたことか。不敬ですよ」


「あ、はい。すみませんでした…」


ベッドを見下ろし腕組みをする王妃はまるでポルターの母親だ。


「さあ、行きますよ」


「行くって…どこへ…」


ポルターはグイっと腕を掴まれた途端、目の前にヘイブンの港が現れた。


「これって………!」


「息子は無事恩赦されてカランの故郷に旅立つのです」


「おお!」


王太子とカランが乗ったボートにアルテマが荷を抱えて乗り込み桟橋を離れ、それを見送る氷炎伯とモエに王太子が叫んだ。


「貴様に借りを返せなかった!すまぬ!」


「岸を離れる前に詫びよ、馬鹿者!」


「ハハハ。また命が惜しくなったのだ」


ボートは沖に停泊する帆船に横付けされて3人が乗り込むのがかろうじて見え、それを確かめた氷炎伯とモエは馬車に向かった。


「モエは結局、氷炎伯のところへ?」


「そうですね。何か神に挑む研究所を建てるとか言っていましたね」


―ハハ、まだやる気なんだ


「それで、姫様はどうなさったのですか?」


「王の葬儀の直後に開かれた貴族院で王位継承権を得ました。今は玉座であたふたしてますよ」


「ご心配は晴れたようですね」


「いいえ、いつまでも心配です。それが親というものです」


「親…ですか…」


王妃は海を見つめるポルターの手を握る。

ポルターは、移動ではないのを不思議に思った。


「ポルター。実は、あなたにも良い報せがあります」


「なんですか?!未練ですか!」


「あなたの故郷が分かったのです」


「俺の……故郷………?」


「辺境領にあるミースという村です。娘は即位してすぐにあなた達護衛の捜索を始め、ボルソ殿とハンターギルドがあなたの埋葬先と遺品を見つけ出したのです」


「ボルソは俺の出身を知っていたのか…」


「詳しくは知らなかったようです。ですが、あなたの遺品…あるハンターが託されたという、あなたの手紙に記されていたようです」


「手紙!王妃は読んだんですか?!」


「いえ、ここまでは娘から得た話です。私も読み書きは理によって制限されているので」


「ああ、良かったあ…」


「良かったの意味が分かりませんが、現在は氷炎伯があなたの像を造らせているようですよ」


「よく姿かたちが分かりましたね。って、王妃!」


「ふふ、鏡に映らないあなたの姿をようやく見れますね」


「そうです!いつできるのですか?」


「5日後にミース村に娘が訪れます。救国の騎士を讃える式典なるものが予定されているので恐らくはそこで」


「分かりました。ああ、待ち遠しい…」


「ふふ。では戻りましょう」


王城でポルターは、女王となった王女の姿に涙した。更に王女主催で救国の騎士を讃える詩を作る会議が連日催されるのを気恥ずかしげに眺め、その中心になったボルソが側仕えに復帰したのを知ってまた涙した。


「この、騒霊というのは王陛下がお考えになったのですか?」


吟遊詩人が尋ねるとボルソは肩をすくめた。


「聞き流して欲しいが、事実らしい。だが、証明するものもないから作り話でいいんだとよ」


「とても作り話には思えない緻密さに興味が湧いたのですが、そういうことであれば忘れましょう」


式典前日になり、王女は氷炎伯の屋敷に逗留した。翌朝ゆっくりと進む車列に王妃とポルターはついて行った。


「いやあ、緊張しますねえ」


「そうは見えませんね」


「いい男に仕上がってるといいですよね」


「似ていなければ私の雷で…」


「ちょ、そういうのやめましょうよ」


「ふふふ…」


風景は農園からなだらかな丘陵地に変わり一面が橙色の花に埋め尽くされた丘と小さな村が見えてきた。


「あれが、ミース村です。あなたの故郷ですよ」






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