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異世界を知った悪役令嬢、転生者を捕まえます  作者: 生ハム


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7/19

第二王子の攻略を考える


父との面談を終えた私は、ハガルと共に書斎から離れながら今後のことを考えていた。


縁談を受けるのは良いが、問題がある。私は第二王子とは余り面識がなかった。

王城へ交流のために向かっても顔を合わせるのは第一王子か国王夫妻だけであった。


第二王子との面識なんて社交などの場で挨拶を数回していた程度だ。


この問題を解決しなければ、次期王妃など夢のまた夢。今度こそ婚約を成功させ、国家規模で転生者を探せる地位を手に入れる。


早速準備に取り掛からなくては。


自室へ戻り鍵付きの棚から一冊の書を取り出す。これはナアマさんから聴取し編纂した誘惑手引書。まさか自分自身でこの書の内容を実践することになるとは思わなかった。


手引き書を使う理由はただ一つ。

あの凡愚の二の舞は避けなければならない。前回の失態は私がエサウ相手に完璧な淑女として振る舞い過ぎたことだ。


男性に意見しない事と完璧な成績を収め続けることこそが、王妃になる者の振る舞いだと勘違いしていた。


だが今は違う。ナアマさんとの一件で、男性の手綱を握ることが大事だと学ばせてもらった。


手引き書の初めのページから読み始める。

攻略したい相手の個性を型にはめるところから始める。と言っても今の私はヤコブ第二王子の性格や趣味を余り知らない。


「困りました、ヤコブ王子の情報がない。ハガル、王城で働く寄子達にヤコブ王子の情報を集める様に伝えて」


ならば情報が無ければ集めればいい。ハガルを通じて、王城内で働いている同じ派閥の下位貴族達に、王子の情報を集めてくる様に指示を出す。


今すぐにでも情報が欲しいが、今はできることを行おう。あゝ、ナアマさんが言っていたデンワが今こそ欲しい。



ハガルと共にナアマさん達がいる離れに戻る。

ナアマさんの居る部屋へ入るなり、すぐに婚約の話を打ち明けた。


「ナアマさん、第二王子ヤコブ殿下との縁談を受けるのですけれど何か情報はありますか?」


「うぇっ!……そ、それは、お……おめでとう? と言うかいきなり何の話? 第二王子ってエサウ王子の弟の?」


「ええあれの弟です。しかしこれはまたとない好機なのです。貴女のような転生者を探すためにも協力して下さらないかしら?」


瞳に映る顔が見えるほどの距離で、ナアマさんに要求する。


「これこれ、落ち着かんかお嬢さん。ナアマ嬢も圧倒されて話せるもんも話せんわい。もう一度落ち着いて話しておくれ」


レメク男爵に宥められ、ナアマさんと距離を取る。少し焦り過ぎていた様だ。まだ縁談の日程は定まっていない。落ち着いて始めから話を説明する。


_________________________________________


「なるほどね〜要は王子様をメロメロにしたいのね」


「お嬢さん、もう少し夢のある結婚生活を考えんかい……」


二人へことの経緯の説明を終えるとナアマさんは私の考えに理解を示してくれた一方、レメク男爵は呆れたという様な意見を口にしてきた。


「その歳で婚姻をしていないレメク男爵には期待しておりません。ナアマさん、貴女の経験から助言をいただきたいのです」


後ろから聞こえるレメク男爵の文句を聞き流しながら、ナアマさんの考えを聞く。ナアマさんの過去の行いと異世界の知識から、何か有用な意見が聞けるかもしれない。


「助言って言っても、まずはどんな人物か知ることからでしょ。第二王子の情報はゲーム設定には出てきたけど、具体的な好みや人物までは知らないんだけど」


ナアマさんも知らないと言うのか。彼女の言うゲームについても気球製作中に取り調べたが、この世界が物語の中だとは未だに信じることはできない。


最終的に物語とは異なる結末を辿っていることから、彼女の知る物語は舞台劇のような物で、脚色されておりこの世界の未来とは関係がない物という事で結論を出した。



「女の子の好みがわからない状態でアドバイスするとしたら、男が好きな定番の仕草や、ボディタッチを多くするとか?」


「男性が好きな仕草とはどの様な?」


「例えば髪をかき上げたり、うなじを見せるとか。攻略メンバーにもやってたけど、好きな人にはぶっ刺さりよ」


そういうとナアマさんが実演して見せる。こんなことで男性を魅了できるのか?はなはだ疑問だが実績があるなら信用してみよう。


「今どきはそんなんで良いんかい。儂の若い頃じゃ酒場で男が集まればそりゃ女の話をしたもんじゃ。どこの誰が美人だ、胸がデカいと大詐欺したのが懐かしいのぉ」


レメク男爵の発言を聞き、ナアマさんとハガルは軽蔑の目を彼に向ける。だが私はレメク男爵の意見にも一理あると思っていた。女性だけでなく男性の目線からの意見も大変重要だ。最も、今どきの男性と好みが合うかは別だが。


「レメク男爵、先ほどの発言は撤回いたしますわ。もっとお話を聞かせいただいても?」


「おお食いつきが良いな、お嬢さん。そうだの~あの頃は、給仕の女子(おなご)を見るだけで酒が進んだものよ。しゃがむとスカート越しに大きな尻を拝めることが出来て眼福じゃったのぉ」


「セクハラ親父だ……」


ナアマさんが何か小言を唱えているが無視する。ハガルからも怒気がにじみ出ているのを無視。男性から見る魅力と女性から見せたい魅力は異なるのか。


臀部に興味を持つとは。ふむ、魅了する際に主張してみるか?二つの意見を参考にしつつ実際に対面する時にどう振る舞うかを考えなければ。


手引書を片手に皆で意見を交換し合った。


────────────


翌日。

朝、自室で目が覚めると、ハガルが身支度の準備を進めていた。近くの机には書類の束が置いてあった。


「お嬢様、昨日ご指示いたした第二王子殿下の情報が集まって参りました」


ハガルが書類を渡してくる。そこにはヤコブ王子の私生活の情報や、噂程度のものまで幅広く記載されていた。内容としては基本的な情報から過去の出来事などを短く纏めたものになっていた。


更に細やかな情報は鋭意調査中で、もう少し時間を頂ければ現在の情報を集めて参ると締めくくられていた。


女性の好みなどは記載されていない。


「ハガル、次に報告する際は、過去から現在までの女性関係や交流まで報告するように通達しておきなさい」


「かしこまりました」


いま手元にある情報でどう魅了するか手引書の内容と相談する。ヤコブ殿下は私より年下であることから、年下後輩系の章を参考にする事としよう。


内容は......


・年下の男性には、頼りがいがあり、包容力のある年上の女性として振る舞うことを前提とする。

・ただし甘やかすだけではダメ。

・頼りがいのある男をアピールしてくる事もあるので、付き合う事。

・普段は頼れるお姉さんに頼みごとをお願いされることが好まれる場合もある

・憧れの年上のダメなところ、弱いところを見せることで守りたいという、欲求を育てることが大事


なるほど。年上であるという事に重きを置いて誘惑すればいいのか。一先ず、振る舞いの方針を定めた。細かいところをナアマさん達と話し合おう。


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