表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホエイルホエル  作者: たろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/13

永遠少年④


世界管理機構からやって来た男達は、それぞれ鎧塚と長谷川と名乗った。

40代の方が鎧塚で、その部下が長谷川だ。


世界管理機構という名称は、最近ニュースでよく耳にした。

各国がそれぞれ人員を出し合い、ジパングの調査および和平を目的に、日本に設立した組織だと聞く。

そんな組織が何故カイの事を知っているのか、いよいよ怪しい、とゲンは自然と左足を引く。

座っていても剣道の癖が抜けず、警戒すると半身を取ろうとする癖があった。


「カイならまだ帰ってへんよ」


声もいつもより少し低い。


警戒を感じてか、鎧塚は両手を広げ、掌をゲンの方に向けてニッコリと笑いかけた。

私は何も隠し事はしてませんよ。と言わんばかりだ。


「突然お邪魔して申し訳ありません。田中巡査長。

あぁ、先ほど町の方に道を尋ねた時にうかがったのですが、田中巡査長は皆様からゲンさんと呼ばれておいでとか…私もゲンさんとお呼びしても?」


ゲンが答えないでいると、どう解釈したのか鎧塚は満足そうに頷き、話しを続けた。


「いやね、ゲンさん、私達の機関の事はテレビでご存知かと思いますが、実は報道されている以外にも業務がございまして…

本日寄せて頂いたのは、そちらの件でございます。」


鎧塚は背も高く、手足が長い。細く伸びた手足に貼りたい笑顔は、どことなくピエロの様に見えた。


「カイ君…を保護されたのはゲンさんだとか。

それは昨年の8月8日…

お間違いないですか?」


長谷川は鎧塚の後ろでタブレット端末に何かを打ち込んでいる。


「それが何やよ?」


そう問いかけながらも、何となく、彼らの目的に想像がつき始めていた。


「カイ君はそれより前の記憶がない…

これもお間違いありませんか?

その後で何か過去の事を思い出されたか、実は出自がお分かりになられたとか、その様な事はございませんか?」


ゲンは小さく首を横にふる。


「そうですか。そうですか。

ところで、カイ君はもうご帰宅されておいででしょうか?」


「今日は部活に顔出すって言うてたしよ、まだ帰らんよ」


それを聞いて鎧塚は長谷川に目配せをする。


「それでは、長谷川を迎えにやりましょう。」


派出所の前には黒塗りのセダンが止まっている。

メルセデスベンツのE-Class。1000万位するんじゃなかったか…ますます気に食わない。

いゃ、別に高級車に乗ってることは別に良い。この鎧塚の何処となく慇懃無礼な態度が気に食わないのだ。


「部活おわったら、すぐ帰ってくる。

それまで待ってらぁよ。」


「そうですか。そうですか。

それではお待ちさせていただきます。

そぅそぅ、お昼に和歌山の名物という事でラーメンを頂いたのですが、とても美味しく、すっかり虜になりました。鯖寿司も一緒にいただきました。

ラーメンと鯖寿司の組み合わせ何て、初めてで、とてもユニークですね。

鶏ガラと醤油のスープに、鯖寿司の酸味が意外に合う。

そこの長谷川と帰りにもう一軒寄って行こう。と言う事になりましてね。

何処かおススメのお店を教えていただけませんか?」


何店か思いついたが、教える気にもなれず黙っている。


鎧塚は、また満足そうに頷く。


「折角なので、カイ君のお気に入りのお店を教えて下さい。

…今後はなかなか食べられ無くなるでしょうから。」


ゲンは机を叩き勢いよく立ち上がった。

椅子が後ろに勢いよく倒れる。

ゲンは鎧塚を睨みつけた。


「それどう言う事らよ?」


先ほどこの男の発した言葉「今後はなかなか食べられなくなる。」はどちらを差しているのか。

鎧塚達が和歌山になかなか来られない。と意味ならよい。

ただ、この男達が訪れた時から予感めいたものがゲンにはあった。

カイが今後なかなか食べられなくなる。そう言う意味で鎧塚は言っている。


コイツらはカイを連れて行くつもりだ。


「ただいま。表に車が…

…どうしたの?」


ゲンが見た事の無い長身の男を睨みつける場面にで詳しく、カイは少し驚いた。

ゲンが怒る姿なのど、ここ1年見た事がない。

喧嘩の仲裁に入り、興奮した男に殴られた時でさえ、殴った男を優しく諭していた様な人だ。


長谷川と鎧塚は、後ろを振り返りカイを見た。

鎧塚がカイに近づく。

左手をカイの肩に置き、右手でカイの右手を握り、有無を言わさず握手をした。

帰宅した時の状況から、この男達はゲンに歓迎さらていない。それなのに、この馴れ馴れしい態度は何なのだろう。

カイもまた鎧塚を警戒した。


鎧塚は、また満足そうに頷き、握った右手を軽く上下に揺らす。


「カイ君。お帰りなさい。

お会いしたかった。

私達は貴方に大切なお話があって、伺いました。」


鎧塚の貼り付けた様な笑顔を見て、カイはピエロを思い浮かべた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ