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ホエイルホエル  作者: たろ
四幕

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再会


「やっと、見つけた」


蝋燭の火がチラチラとゆらめく。

大広間の壇上に座る鎧塚は広間に現れたソラを見下ろした。

あれから二十年以上経っているが、ソラは5、6歳、歳ををとっているだけに見えた。


ブラックホールに囚われている期間の問題なのだろう。


鎧塚は満足そうにうなずく。


ここまでは、鎧塚の計画通りに事は進んでいる。

ここから盤上をどう動かすか……


予定とは違った選択肢が頭をよぎった。



「ボクはアンタを信じてたんだぞ!」


ソラは荒んだ瞳で鎧塚を睨みつけた。



「よく戻ってきてくれた」


鎧塚はわざとらしく、憂いをおびた表情でソラに語りかける。


「君が成長して、私の元へ戻ってくる事はわかっていた。

しかし、随分大変な思いをした様だ……

君の成長の為とはいえ、辛い思いをさせてしまった」


鎧塚はゆっくりと階段をくだり、ソラの前に立つと両肩に手を置く。目には涙を浮かべてみせた。

涙は流れるか流れないか位に留めておくのが「抑えきれない感情」が込み上げてきている様に見せるのに効果的だ。


「ボクが今まで、どんな思いをしたのか分からせてやる!アイツをだせ!

ボクをあんな所へ送ったアイツを!!」


「……ヤツか。

ソラ君。君があちらへ行っている間にいろいろあってね。ヤツは今はもう……」


何か言おうとしたソラを鎧塚は抱きしめた。


今、抱きしめるのもまた効果的だ。


久しぶりに感じる人の温もりは、ソラを懐柔するのに必要な要素だろう。


「立派になった」


本心が口をついて出てしまった。

そんなトーンで囁く。


ソラは鎧塚の事を振り解こうとはしない。


ソラは元々鎧塚に心酔していた。する様に仕向けていた。それは今でも変わらない様に根付かせておいた。


何年たっても芯の部分は同じだ。


自尊心が強く、しかし自分に自信が持てず、理想と現実の差を手に入れた力で埋める。

去勢をはり、横暴な態度と言葉遣いで自身を大きく見せようと必死だ。

目の前のソラはそれなりに容姿は成長していたが、中身はそれ程変わっていない。

ソラを認め「必要だ」と求めやる。それだけで良い。


「あんな世界で、よく頑張った。ホントによく頑張った」


「うぅっ」とソラが啜り泣く。

本当に御し易い。

それでも、この男は大切な石の一つだ。ソラを起点に幾つ布石を置いている。


さて、ソラの掌握も無事に終わった。

ここからは必要な事をいくつか確認しておかなければならない。

鎧塚の『レセプター』としての能力は他と違い、特殊だった。そのお陰で今の地位『三本足』まで上り詰められた。


どのルートを辿って、ここに至ったかを確認する必要がある。


「今までの話を聞かせてくれるか?」


鎧塚はソラを別の部屋へと誘う。


ソラが語った内容は鎧塚の望むものだった。

鎧塚は満足そうに頷く。


「そうか。ソラ君。

君がアンダー オブ ユニバースで出会った『澱』は、きっとこれから君の役に立つはずだ」


鎧塚は「君の」と言った部分を心の中で「私の」と置き換えて、満足そうに頷いた。



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