55/62
統合
グラグラと世界が揺れている。
揺れて混ざる。
確かに揺れているのに、家具や建物が倒れる事はない。
しかし、世界の揺れに、皆立っている事は、ままならかった。
叫びたいが声が出ない。
いや、出ているのかも知れないが、何も聞こえない。
視界がグワンと歪む。
無音の中で世界が回り崩れていく。
崩れて混ざり溶けていく。
遠くで角笛の音色が聞こえる。
その音はだんだんと大きくなり、最後には耳をつんざくほどに鳴り響いた。
ギャラルホルンの角笛だ。
あれは北欧神話だっただろうか。
死者の国ヘルダイムと繋がる、ラグナロクの始まりの合図だ。
『地球平面説』の世界を横並びとするならば、今から繋がる世界は上下だろう。
天国と地獄、神々の世界と悪魔や魑魅魍魎の世界。
それは今、統合されようとしている。
地面に這い蹲りながら、エヴァは笑っていた。
やはり、私の仮説は正しいのだ。
きっと、この角笛が鳴り止めば、全ての世界は統合される、完全な一つのユニバースとなるだろう。
これからは、何処からでも、空を泳ぐ鯨を見られる事だろう。
ふと、気づく。
この音は、角笛では無く、鯨の鳴き声だ。




