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ホエイルホエル  作者: たろ
三幕

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永遠少年⑭

長谷川の長い長い独白の後、カイとアオは帰路についた。


 カイは、半分は世界管理機構に所属している様なものだが、あくまでも今までは協力しているだけで、一定の距離は保って来たつもりだ。

 しかし、今回の長谷川の申し出を受ければ、良くも悪くもどっぷりと世界管理機構に浸かる事になる。


いっその事、今までの事は知らないフリをして、普通に暮らしていこうか……


しかし、カイにはそれが出来ない予感があった。


アオはどうするのだろう。


 カイとしては、これ以上危険な事に関わってほしくは無いが、既に同期してしまったアオもまた、普通の日常は送れないのかも知れない。


「カイ…先輩」


不意にアオに呼ばれて。顔を上げた。

知らない間に考え込んで、下を向いていた様だ。


「どうしたの?

急に、また『先輩』呼びとか」


「だって、向こうじゃ先輩って呼ぶのは不自然だったけど……

こっちじゃ、一応、先輩後輩な訳で……」


「いいよ、今更。

カイって呼んでくれる方が気楽だし」


「そう?じゃぁ、こっちでもカイってよぼぉっと」


 なんだか嬉しそうにしているアオを見て、カイは少し安心した。

 『同期』した事を、どちらの両親にも打ち明けてから、アオはどこか浮かない顔をしている事が多かったが、今は心から笑っている様にみえる。


明日からは日常に戻り、大学に通う事になる。

 およそ一カ月程通えなかった分は、また論文で補填する事になるだろう。

アオにその事を告げると口をへの字に曲げていた。


雅は二人が同期したタイミングで一緒にいた。

 世間には『同期』の事は知れ渡っているし、吉本から直接何か聞いているかもしれない。

 そうなると、カイの事も吉本の口から告げられているだろうか。

 吉本の性格上、それは考えにくかったが、無いとも限らない。


一応、説明できる様にしておこう。


「カイ、何か食べて帰らない?

久々にお醤油の味がたべたい」


「いいね、腹も減ったし……何がいい?」


「焼き鳥!」


 即答した所を見ると、はじめから決めていたのだろう。

 時刻は18時を過ぎている。赤坂なら何処かしらの居酒屋が空いているだろう。


「居酒屋でいいか?

でも、アオはまだ20歳なってないから、ソフトドリンクな。」


「フォレスなら、16歳から飲んでもいいのに」


アオは口を尖らせる。


「11月になったらな」


「わかった」と言うアオの顔はもう笑っている。

ころころと変わる表情もアオの魅力の一つだろう。



 居酒屋は既に賑わっていたが、席は未だ空いていた。休日前なら予約無しでは入らないだろう。


カイはビール、アオはジンジャーエールを頼んだ。

 アオに申し訳ないので、ソフトドリンクをとも思ったが、焼き鳥の香ばしい匂いに負けてしまった。

 取り敢えず『焼き鳥5本盛り合わせ』と『焼きおにぎり』と『梅水晶』をアオが頼んだ。

梅水晶とはなかなか渋い。


 焼き鳥は、モモ、ねぎま、鶏皮、軟骨、ハツが盛られていた。

 特にモモは絶品で、大ぶりに斬られたモモ肉が炭火でやかれ、醤油ベースのタレが焦げて香ばしい香りを漂わせ、外はカリっと焼かれ、炭火中に旨みが閉じ込められて、食欲を刺激する。噛んだ瞬間にジュワッと旨みがあふれた。

 焼きおにぎりは定番の醤油と、変わり種こ味噌ダレとの2種類で一皿だ。ご飯に胡麻がまぜられており、また違った香ばしさがある。


「うーっ!美味しい!

やっぱり日本人にはお醤油よね!」


アオは満足そうに焼き鶏をほうばる。

 実は、カイにはあまり懐かしいと言う感覚は無いのだが、話は合わせておく。

ビールとあう事は間違いない。


「そういえば……」


アオは鞄から一冊の本をとりだした。


魔女からもらった本だ。

 タイトルは無く、黒い革の背表紙で製本されている。

パラパラとめくるが、何も書かれていない白いページが続くだけだった。


「カイの方はどう?」


「オレのも、まだ白いままだ」


素材集めの報酬としてもらった魔女の本。

「その本は、必要な時に読めるようになるのさ」と魔女は「ヒヒヒ」と笑っていた。


ビールを片手に白いページをペラペラとめくる。


ふと思う、これって……詐欺の手口じゃないか

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