永遠少年⑬
「パラレルワールドは無数に存在します。
あの日、あの時、違う選択をしていた未来。
人や動物、もしかしたら植物や気候に至るまで、そこにあった『if』の数だけ、世界は折り重なっているのです。
鯨がなぜ、それらを、この世界に呼び出しているのかは分かりませんが、パラレルワールドは確かに私達の隣に在ったのです。
ゲームや小説、……神話も、そうかも知れない。
疑問に思った事はありませんか?
創作の中の産物、自由であって良いはずなのに、そこに表現される空想の生き物は人や動物の形をしている。
多少手足や目が多かったり、首が何本かあったり、体が大きかったりと、違いはあっても、私達の想像できる範囲を出ないでしょう?
私達は、見た事あるものしか想像できない。
無意識のうちに、知っているんです。
パラレルワールドの存在を。
見て、知っているんです。
そして、よりその世界の情報を受け取れる者、それを表現する手段を持つ人々がいます。
小説家、漫画家、脚本家……クリエイターと呼ばれる方々です。彼等、彼女等は、無意識異世界を覗き、その情報を受け取っているのです。
我々は、そう言う方々を『レセプター』と位置付けました。
パラレルワールドが認識される前、クリエイターとして大成した人は良いでしょうね……
誰にも受け入れてもらえ無かった人達は『妄言者』『虚言癖』などと、蔑まれた事でしょうから。
あぁ、そうだ。
『デジャブ』と言うのがあるでしょう?
初めてのはずなのに、前に見た事があったり、経験したりした事がある様に感じる、アレです。
アレも、パラレルワールドとの交信によるものだと言う論文があります。
話が逸れました。
鎧塚は、パラレルワールドを覗く事の出来る『レセプター』で、多分、間違いないでしょう。
多くの『レセプター』は、無意識にパラレルワールドを覗き、情報を受け取ります。
大概は親和性のある世界を、一つから多くても十程度、無意識に視る位でしょう。
しかし、おそらく鎧塚は意図的に任意の世界を覗き、情報を得る事が出来るのだと思われます。
鯨が現れた、この世界にとって、とてつもないアドバンテージになる能力です。
『鬼結晶』なんかが、良い例でしょう。
鎧塚は、ジパングにある資源について事前に把握していた筈です。
上手く立ちまり、『鬼結晶』を世界管理機構にもたらした。
そのお陰で、莫大な利益を、世界管理機構は享受できました。
それにより、奴は、より地位を確固たる物にした。
今回の、ロッズ帝国への干渉は鎧塚の独断です。
世界管理機構は把握していませんでした。
本来であれば、失脚して然るべき行いです。が、『八咫烏』には有益な行動だったのでしょう。
特にお咎めなどは、ありませんでした。
今や、鎧塚は世界管理機構を動かす側にいます。
奴は、私達がどれだけ騒ごうと、届く事など無い高さまで登り詰めたのです。
これからも『拡張』と『同期』は起こると考えています。
ここからはお願いです。
カイ君や葵さんには、出来たら、私側について頂き、今後も活動をお願いしたいのです。
鎧塚が何を目的にしているのかは分かりませんが、これまでの事を考えると、良い結果をもたらすとは思えない。
私は、これから『調査室』をより強固なものにしていきます。
ぜひ、力を貸して下さい。」




