表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホエイルホエル  作者: たろ
二幕

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/67

PW02-魔法の世界⑳


 銀の盃は白に変わり、中には澄んだ液体が月の光に照らされている。

月の光の当たり方で、見える色をかえていた。


盃の底に七色の石だけだが残っている。


 意識を取り戻した魔女は「成功だ」と喜びの声をあげた。

液体を一滴もこぼさぬ様に、慎重に瓶へと移し替え、コルク栓で蓋をした。


瓶の中でも、その液体は不思議な輝きをはなっている。



「アオ、顔赤いけど……

まだ、魔力使いすぎて辛い?」


「だ……大丈夫」


 別の理由だとは言えるわけも無く、アオは顔を背けた。

その様子をみて、魔女は「ヒヒヒ」と笑う。


「さてと……」


魔女は立ち上がろうとして、少しよろめいた。

 まだ魔力が戻りきっていないらしい。

立ち上がると、魔女はカイとアオの方を向き頭を下げた。


「アンタ達のおかげで、やっと悲願が叶った。

礼を言わしておくれ」


 魔女は「ありがとう」と言いながら、更に頭を下げる。


「そんな!お礼言われる事なんて、何も!」


アオが慌てて両手を振り否定する。


 確かに苦労はしたが、魔女からも教えをうけている。

等価交換は成立しているから、お礼の分は貰いすぎだ。


「そうだね。

なかなか大変だったし、その薬を何に使うのか、教えてくれたら、それでいいかな。」


カイは、別にそれほど知りたい訳ではない。

断られても受けいられてもいい提案をした。


魔女がキョトンとした顔でカイを見ている。


「アンタ……コレが薬だって、何で知ってるんだい」


カイも指摘されて初めて気がつく。

何故あの液体を、薬だとおもったのだろうか。

直感と言えばそうなのだが、カイは液体が薬だと確信していた。


「まぁ、いいさ。

アンタが変なのは、はじめっからだね」


アオがフフッと笑う。


「ほら、早く来な」


魔女がフワッと浮き、ウッドハウスのテラスに降り立つ。


「この薬が何か知りたいんだろ?

今から見せてやるよ」


そう言うと魔女は家の中へ入って行った。

カオとアオは急いで後を追いかけた。



家の中に入ると、魔女は扉の前に立っていた。

出会った最初の日、「絶対に開けるな」と釘をさされた、あの部屋だ。


魔女がゆっくりと扉を開ける。


少女がベッドに眠っている。



 キングサイズのベッドには天蓋がついており、フレームはモチノキでつくられていた。

 天蓋から垂れ下がるカーテンも白く、レースのフリルで飾られている。


広いベッドの真ん中で、5歳か6歳の少女が寝ている。


まるで血が通っていない様な白い肌だ。


「……えっと」


アオが恐る恐る口を開く


「心配ないさ。

寝ているだけだからね」


魔女は言葉の先を察して答える。

アオはホッと胸をなでおす。

ベッドの上の少女は、死んでると言われても、寝ていると言われても、どちらも信じられた。


「私の孫だ」


 魔女はベッドのハジに座り、優しく少女の頭をなでる。

 魔女のその瞳は、今まで見たことがない慈しみであふれていた。本当に孫なのかと疑う余地が、どこにもなかった。


 魔女は片手で少女を抱き起こし、先程できたばかりの薬を、瓶から少女の口に流し込む。


白かった少女の肌はみるみる赤みを帯びてくる。


 寝息も、ほとんどしているかわからない程度だったものが、今はハッキリと聞き取れた。


少女がうっすらと目を開ける。



「お……ばぁ……ちゃん」


 小さなか細い声で、自分を呼んでくれた孫の姿をみて、魔女は人目を憚らずに泣き崩れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ