PW02-魔法の世界⑮
長谷川からの情報は間違っていなかった。
写真でみた、そのままの顔だ。
「ペタ…だろ?」
カイはモヒカンの男に向かって話しかけた。
男は単純に驚いている。
「どうして知ってんの!?」
やはりそうだ。
長谷川からの情報を『Bee』が持ち帰った。
そこには『ペタと同期したであろう人物が、ロッズ帝国に向かったかもしれない』とあった。
「鎧塚側の人間が既に接触している。』ともある。
「何で、こんな事を?
フォレスにはジュロン達がいるだろ!」
ペタは「あぁ!」と間の抜けた返事をする。
「なんだ。ジュロンと知り合いか!
大丈夫!
あいつ等には手を出さないって、鎧塚さんと約束したからな!」
やはり鎧塚が絡んでいる。
「いや、まぁ、そうだな……
何で?とか無いかな?面白そうだったから……かな?」
ペタは「うーん」と首を捻りながら答えた。
「人が……人が、死ぬかもしれないんだぞ!?」
「まぁ、知らないヤツだしなぁ」
あの気のイイ奴らとつるんでいた人間とは思えない発言に、カイは言葉を失った。
何か言わなければと、口を開こうとした瞬間、目の前に炎が巻き上がる。
後方へ飛びのき、かわす。
炎は大きく燃え上がり、すぐに消える。
「無視してんじゃねぇっ!」
激昂したソラが炎を放ったのだ。
その両手には炎が燃え盛っていた。
彼の情報もBeeから得ている。
同級生12人を魔法で燃やし、大怪我を負わせた犯人だ。
「何なんだ!
お前は突然現れて邪魔しやがって!
ボクは鎧塚さんから、大事な使命をうけてんだよ!」
「使命?何だよ。それ?
何の為にこんな事やってるんだ。」
「フォレス王国を滅ぼす!
それが鎧塚さんから受けた使命だ!」
「何故そんな事をするのか」と、聞いているのだが、ソラとはまともに話ができそうにない。
ペタも何を考えているかわからない。
残るは……
「雫さん、ですよね?
アナタは何で、こんな事をしてるんですか?」
カイは黒髪の女性に話しかけた。
「あら、私の事も知ってるのね。
ところで、どうして、聞いたら教えてもらえると思うのかしら」
こちらも、話に応じる気はなさそうだ。
激昂したソラが炎を携えた拳でなぐりかかって来た。
殴り慣れていない拙い動きだ。
半端身体を晒し避けた。
殴り損ねた勢いを殺せず、ソラはバランスを崩して転倒し、大きく転がった。
「ハァ……本当にしょうがない子。」
呆れた様にため息混じりに吐き出すと、雫は一歩前に出る。
「アナタが誰か知らないけれど、まずは私達の計画を進めさせて貰うわね。」
そう言うと、雫は檻の方に向けて、指揮者がタクトを振る様に指をふった。
バリバリバリッと、また雷鳴が響き渡り、雷の檻が霧散した。
「私、水魔法が得意なの。
空気中の水分濃度を変えてあげれば、電気の通り道くらい創れるのよ?」
「何してるの?早く役目を果たしなさい。」
冷たく感情のない声で、兵士達に命令をする。
檻から解放された兵士は呆然としていたが、雫の言葉に我にかえった。
「全員、進軍を再開せよ!」
隊長の号令で、兵達はまた進みだす。
「アーリア・パロワ!」
風の壁が兵士たちの前に立ち塞がり、行く手を阻んだ。
そのまま風の壁は兵達の周りを囲む。
「行かせないっ!」
箒を急降下させ、アオは雫の前におりたった。
その顔は決意に満ちている。
「あら、可愛らしい。お人形さんみたいね。」
雫はクスっとバカにした様に笑う。
「アナタみたいな素敵なお嬢さんが、何の様かしら。
ズタズタにして良いのかしら?
それは、とても素敵なのだけれど」
冷たく笑う。
その笑みはとても悍ましく感じられた。
しかし、ここで引く訳にはいかない。
アオは拳を握り、口を結ぶ。
マータルに居る家族を守るには、ここしか無い。




