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ホエイルホエル  作者: たろ
二幕

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PW02-魔法の世界⑦


 タンクトップの男はテラ、甲高い声の小太り男はギガ、ピアスの男はメガと言う名前だそうだ。

 ジュロンともう一人、ペタという中間5人で、いつもつるんで居た。


 ところが三日前の昼、ペタが姿を消したのだと言う。

 ジュロンが剣を打つ為の鉄を仕入れに行ってから、戻らないのだそうだ。

 鉱山の麓にある鉄の卸店では、確かにペタが鉄を仕入れていったと言う。鉱山までのもう一つ道のりを辿ると鉄だけが落ちていた。


「攫われたとしか思えねぇ!」

「ロッズ帝国の奴ら、また人攫いを始めたに違いね!」


 ウドノから西に行くとロッズ帝国との国境が有る。

三年前の5年間の不可侵条約が結ばれ冷戦状態に入るまでは、ロッズの工作員による拉致被害が起きていた。


「もうすぐ全員分の武器ができる!

そしたらロッゾにペタを探しにいく!」


 4人はロッズの仕業と疑わないいが、同期した可能性が高い。

 この血気盛んな若者達のせいで、国同士の争いが起きかねない。


「ちょっと待って!

まだロッズの仕業と決まった訳じゃ無いんでしょ?

危険すぎるわ!」


アオが止めようとするが「テメェ等には関係ねぇよ!」と聞く耳を持たない。


「わかった。アオ、今日は帰ろう」


カイはアオを連れて廃屋をでた。


「悪りぃな。折角きてくれたのによ。

親父にはカタがついたら帰るって伝えてくれ。」


ジュロンの言葉に答えずカイは扉をしめた。


「カイ!だめだよ!

あのまま、放っておいたら!」


アオは「何とか彼らを止められないか」考えている。


「うん。だから、力ずくで止めよう。

アオはここで、ちょっと待ってて。」


カイは踵を返し廃屋に戻っていた。


「えっ??」アオが戸惑っている間に、廃屋の中から数回大きな音が聞こえる。


30秒もしなかっただろう。

再びカイが扉を開けて出て来た。


中では4人が気を失っている。


「アイツ等、説得しても無駄だよ。

ちょっと手荒だけど、この方がいい。」


 廃屋にあった荒縄で、ジュロン達の手を縛りながらカイは事もなさげに話している。

 カイがこんなに強いことにも驚いたが、この決断までの速さにも驚いた。


「えっと、でもここまでしなくても…」


「うん。まぁ話し合いで解決できたら一番だけど、あの感じだと無理だしね。

こいつ等人が良すぎるよ。

さっき会ったばかりのオレ達に、あんな計画話して、帰しちゃうなんて。

オレが衛兵とかに話したら、すぐに捕まって終わりなのに…」


確かにそうだ。とアオは関心する。


 そんな危機感で、冷戦中の国に乗り込んで無事で済むわけがない。




 目が覚めると、目の前で、髭モジャの丸い顔が覗いていている。


「親父!」


 ジュロンは立とうとして、自分が縛られている事に気づいた。


「このバカが!」


 フォルはそう言うと同時にシュロンの頭に拳骨を落とす。


「いってぇ!何すんだよ!」


「馬鹿野郎!何が『何するんだよ!』だ!

こっちのセリフだ!

ロッズにカチコミなんか考えやがって!

生きて帰れると思ってんのか!」


 もう一発「馬鹿野郎!」とフォルはジュロンの頭にに拳骨を落とす。


ジュロンは辺りを見回した。


 どうやら、実家の鍛冶屋のリビングの様だ。

他の3人も縄に縛られている。まだ目を覚ましていない。


「あのカイって小僧に感謝しろ!

命拾いしたんだからよ!」


そう言えば、2人の姿が見当たらない。


「親父!アイツ等どこいったんだよ!」


カイとか言う奴の強さは異常だ。


 扉から入ってくるなり、ギガの顎に掌底を打つと、その流れでテラの米噛みに肘鉄をくらわし、メガの顎を蹴り上げた。

 ジュロンは殴りかかるが、腕を絡み取られ、飛びつかれたと思うと共に首に足を巻きつけ締め上げられて意識を失った。


「アイツ等なら、お前を運んで帰ってったよ。」


「クッソ!アイツ等…」


「あのカイって小僧、ワシの打ったのじゃなくお前の打ったシミターを持って行きやがったぞ。」


ジュロンは「気にくわねぇ!」と吐き捨てる。



あんだけ強い上に、良い物見分ける目も持ってやがるんだから、やってられねぇ。


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