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ホエイルホエル  作者: たろ
二幕

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22/64

永遠少年⑧


鎧塚について調査すると長谷川に約束させ、カイはビルを後にした。


 カイは、世界管理機構に世話になる事をやめようかとも思ったが、長谷川から「大学を卒業するまでは居てはどうか。」と説得された。


少し迷ったが、そうする事にした。


 入学して早々、半年の休学だ。前期の単位は絶望的で卒業には少なくても五年はかかる。

バイトをしながら大学に通うのは中々大変そうだ。

ジパングでの「危険手当て」とでも思っておこう。


スマホが鳴った。

久しぶりに感じる電気的な振動に、少し驚く。


電話は宏美からだった。


「おっ!やっとでよったよ!

連絡して全然繋がらんし、どないしたんよ!」


しまった。


ジパングでは通信機器が使用できなかった。


 ゲンが心配しない様にと、世界管理機構に偽装工作として定期的にメールを入れてもらっていたが、宏美の事は失念していた。


「悪い!ちょっと色々あったんだ。」


 言い訳を考えるが、あまり良い案が浮かばない。

しどろもどろ会話していると、何故か最終的に「大阪で飯食うぞ」と言う事になった。



 三日後の土曜日、カイは大阪で久しぶりに宏美と会っていた。

 お好み焼きを食べながら、互いの近況を報告し合う。

とは言え、ジパングへ行った事を言える訳もなく、この三日間で考えぬいた言い訳を披露する。



「へぇー。

山岳の救助の長期バイトとかあるんやなぁ。

そやたしよぉ、そこでスマホ無くして連絡とれやんとか、アホらよ?」


 宏美はカイの作り話を、呆れる程すんなりと受け入れた。

あまりにも疑わない宏美をみて「お前がアホやよ」と心の中で呟く。


まぁ、鬼狩りで山の中を駆け回ったのだ。

あながち嘘では無い……と思う。


 宏美は体育大学で剣道に励み、体は一回り程大きくなっていた。

もう高校の制服を着ても似合わないだろう。

 それに比べてカイは、未だどこと無く、少年の面影を残していた。

制服を着て高校生の中に混じったら、誰も気が付かないだろう。


「カイさぁ、アポトキ…何たらって薬でも飲んでんの?」


 少し大阪弁に染まり始めた口調で、宏美は笑いながらカイをイジる。


 昔、宏美に勧められて読んだ探偵漫画[作者曰く恋愛漫画]を思い出した。


「いゃ!誰が少年探偵だ!」


カイがツッコミ、二人は笑いあった。


 高校生の頃、他に何人かの友人も交え、こんな風に良くふざけあった。

あの頃のノリに直ぐにもどれる。


改めて思う。良い友達だ。



 お好み焼きをたらふく食べ、カラオケに行って夜通し歌った。


 明け方カラオケを出て、始発まで時間があったので、宏美と二人で牛丼を食べた。

 宏美が朝から特盛を頼むので、カイもそれに倣って特盛りを注文したが、半分ほど食べたところで後悔した。


大阪駅の御堂筋口の改札で「またな」と別れる。


「また明日」と言いかけて、咳払いをして飲み込んだ。



カイは鈍行を乗り継いで、東京まで帰る事にした。

およそ9時間から10時間の道程だ。



なんと無く、時間をたっぷり掛けて帰りたかった。


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