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また、つまらぬものを斬ってしまった……で、よかったっけ? ~ 女の子達による『Freelife Frontier』 攻略記  作者: 一色 遥
第五章『サヨウナラが言えない』

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二人の天才

前回のあらすじ

・問いに正解したと思ったら襲われた

・某修行僧みたいなゴリラ

 side.ケート


 さっき放った『プチファイア』は、多数の魔法を一発に凝縮して放ったもの。

 ゆえに、一番最初の火魔法だといえど、威力はなかなかにえげつないモノになっていたはず。

 それが……たった一発の魔法に打ち負けた。


「やっぱり【ゴリラの枷】は、ただの重しってわけじゃ無さそうだにゃー」


 釣りゴリラの時に、セツナが気配察知に失敗していたのも含めて考えると……重量的な意味での重しだけじゃなく、ステータス自体が下げられてると思った方が良いかもしれない。

 ゲーム内では、完全にマスク(隠し)データになってるけど、データとして存在している以上、スキルという形で制限を掛けることも可能なはず。


「ま、要は……魔法の威力が落とされちゃってるってことだにゃー」


 そう結論つけてしまえば、考えるのは単純なこと。

 相手の魔法の弱点を突くか、無理矢理貫くか、だ。


「僧ゴリは火を噴いてくるわけだし、順当に対処するなら【水魔法】なんだけど……威力減衰の状態だと、蒸発させられて終了な可能性もなきにしもあらず、にゃ」


 そうなると、手はおのずと決まってくる。

 ま、天才の実力……見せてやろうかにゃー。


□□


 side.セツナ


 近づくほどに激しくなる猛攻を、弾き、叩き、落とし、払い……正面で対処すること早数分。

 ケートはまだかなー?

 さすがに疲れてきちゃったんだけど。


『“――――よもや、これほど粘るとは”』


「まあねー。本音を言えば、もっと暴れたいけど……体が追いついてこないんだよねー」


 頭は動くし、僧ゴリの動きに対して“どう動けばいいか”は分かる。

 でも、そのイメージに体が追い付いてこない。

 まるで、意識と身体の間に、なにかひとつ余計なものが挟まってるような……そんな感じだ。


 いつもだったらこの程度、受けたり弾いたり払ったりすることもなく、スッと入ってしまえるのに、今はその少しがめちゃくちゃ遠い。

 余裕で払えるタイミングで動かした手が、ヒットする直前でようやく間に合うのだ。

 あー、もー、一秒だけでも隙間ができればー。


『“――どうやら汝を倒すには、手が足りぬようだ”』


「両手両足の四つくらいなら、見えなくても読めるからねー」


『“ならば、手を増やすとしよう――”』


 言うが早いか、両手両足以外の場所から妙な気配を感じ、左腕を振るうと……その腕は虚空でナニかを弾いた。


『“――ほう、我が『見えざるゴ(インビジブル)リラの手(ゴリアーム)』を防ぐか”』


「いやいや、不可視の腕はちょーっと卑怯じゃない?」


『“勝利のため、持つ力を十全に使うことは、なにも間違いではない”』


「まあそうなんだけどさー」


 やっぱり修行僧っていうより、破壊僧だなー。

 というか、【見切り】をつけといたらよかったかも。

 レベルアップの良い機会になりそうだし。


「まーでも、一本増えた程度なら問題ないねー」


『“案ずるな。我が腕は百八まであるゆえな”』


「それはちょっと……卑怯じゃない?」


『“御仏は全てを許してくださる。もちろん、汝らの罪でさえも。ゆえに――ここで潰えるがよい。『見えざる全て(インビジブル)のゴリラの手(フルアームズ)』”』


 なにも見えないのに、四方八方から明確な殺意が突き刺さる。

 うーわー、これは卑怯が過ぎるー。


「ところがどっこい、ケートちゃんでっす! 『ロックショット』超連打ァァァァアアァァァ!」


『“ヌゥッ!? まさか、全ての腕を破壊するとは……”』


 しかしそんな危機を、空気を読まないケートが横から割り込んで全部をぶっ壊した!

 僧ゴリにちょっと同情しそうだけど……ケートだしねー。


「そしてその隙に……『剛脚』震、『双撞掌(そうとうしょう)』!」


『“ヌオォ!?”』


「顔の横、失礼しまーす、にゃ。一点集中『ロックショット』!」


 あぶなっ!?

 私の顔ギリギリを通さないでくれる!?


『“グヌヌ……! 調子に乗るなよ、キサマラァ! 『ゴリファイア』!”』


「げっ、待避待避ー」


「天才にまかせんしゃい! 即席一発、ぶっつけ本番魔法連結! 『メテオスマッシャー』!」


『“貴様の魔法など、我が技の敵では、”』


 勝ち誇った僧ゴリとケートの間で、ゴリラ型の火の玉と、炎を纏った岩が激突!

 なんか、どこかのハリウ○ド映画みたいだねー。


「どっせーい!」


『“な、なにィ!? 我が『ゴリファイア』が打ち負けただと!?”』


 僧ゴリの顔が、驚きと驚愕の色(とにかく驚いた表情)に染まる。

 まあ、さっきは簡単に打ち勝ってたからねー。


「セツナー、やっちゃってー!」


「はーい」


 私のやる気のない声に僧ゴリが反応する……よりも早く、私は『剛脚』で地面を蹴り、飛ぶように間合いを詰める。

 そして、僧ゴリの横をすり抜けつつ、刃を閃かせた。


「我流――『刹霞斬(せっかざん)』」


『“グッ……見事、なり……”』


 地面へと落ちた僧ゴリの言葉を背中で聞きながら、私はただ静かに刃を仕舞う。

 怒りや憎しみ、ムカつきとか、殴りたい気持ちとかそういったものを全て終わらせるように、ただ静かに(しま)った。


「……うん。また、つまらぬものを斬ってしまったねー」


「冗談通じない石頭ゴリラだったからにゃー。つまんないゴリラだったけど、良い相手だったぜ」


「だねー」


 思ったように斬れないし、取り繕うなら無手の方が良いんだけど……。

 それでも、やっぱり私には、刀が一番しっくりくるかな。

 なんてことを思いつつ、にししと笑うケートに呆れながら、私は刀の柄頭を撫でた。


-----


 名前:セツナ

 所持金:99,920リブラ


 武器:居合刀『紫煙』

 防具:戦装束『無鎧』改


 テイム(使用不可):ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』(所持スキル:【切断Lv.3】【刺突Lv.3】【神速Lv.2】【蠍蟲拳(かっちゅうけん)Lv.3】)


 装着スキル:【ゴリラ語理解】【ゴリラの枷(現在7枠)】【八極拳Lv.6】【蹴撃Lv.12】


 未装着スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】



 名前:ケート


 装着スキル:【ゴリラ語理解】【ゴリラの枷(現在7枠)】【火魔法】【土魔法】

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