↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファーム最強計画  作者: 花黒子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/14

2話「マンドラゴラには気をつけろ」

 城壁の中は意外と人が多い。いや、周辺の人が集まっていると考えれば、当たり前なのかも知れない。

 早速、仕事を探す。こういう時はだいたい酒場に行くと仕事終わりの人たちがいるはずで、機嫌が良さそうな人にどこで仕事をもらえるのか聞けば教えてくれる。宇宙服の見た目がおかしいからか、揶揄われたが、手首のデバイスから音楽をかけたら驚きすぎて腰を抜かしていた。

 冒険者ギルドは、酒場に併設されていた。酒場で稼ぎ、ギルドはちょっとした副業みたいになっている。特に登録料などもかからず、あっさり冒険者として登録できた。

最初は薬草採取の依頼と決まっていて、どうやら毒消し草や麻痺草なども採ってきたら、買い取ってくれるらしい。薬草や毒草の特徴などを聞いて手首のデバイスに録音しておいた。


「あ、それからマンドラゴラには気をつけてね」

「え、なんですか、それは?」

「魔物よ。実際、薬草の一種ではあるんだけど、魔物化して不用意に引き抜くと絶叫とともに鼓膜が破れて、最悪死ぬわ」

 ギルド職員の猫顔女性が教えてくれる。

「植物の魔物がいるんですか」

「いるわよ。そりゃあ。だから、本当に気をつけてね」

 宇宙農家としては聞き捨てならなかった。マンドラゴラは毒としても使われているため、もし倒したら買い取ってくれるという。

「滅多に見つからないけどね。でも、葉っぱは楕円形で、地面近くで放射状に広がっているから、すぐにわかると思う」

「了解です」

 周囲にいる冒険者たちの話も盗み聞きすると、魔物を倒すと必ず経験値なるものが入り、レベルが上がるのだとか。


「ちなみに魔物を倒したら、報酬って出るんですか」

 この際、ギルド職員にいろいろ聞いてみる。

「もちろん、その魔物の強さに応じて出るよ。ただ、魔物にもランクがあるように、冒険者にもランクがあるから、依頼書はまだ見せられないんだけどね」

 どうやら俺はまだ冒険者見習いだが、鉄、銅、銀、金とランクが大雑把に分かれていて、さらにその中でも5段階ぐらいに分かれているのだとか。つまり、鉄2ランクとか、銀4ランクなどで、最強の金5になると勇者としての精霊の試験を受けるという。

 要は冒険者たちのやる気を持続させるシステムだ。宿代を稼ぐには薬草を10枚ほど採ってくればどうにかなり、食事も欲しければ15枚取るまでは森から出ないように、と言われてしまった。

 乾燥した薬草類も見せてくれたので、多分大丈夫だろう。


 そんなに採ってこられるのかと思うが、毒消し草などと一緒に採ってくればいいらしい。小さなナイフと麻袋は支給してくれた。

 日暮れまで時間はないので、とっとと街から出て、近くの森に入る。街道から外れたら、鬱蒼とした森になるから生物多様性は保てているのだろう。その分、魔物も多くいるが、人間の生活圏内に近づく野生動物は少ないのではないか。

 そう思いながら、アロエっぽい薬草やドクダミ系の草などを採取して、麻袋に入れていく。

「薬草なんて栽培してしまえばいいと思うんだけど、畑にはできないのかな」

 手首のデバイスに入っているローカルAIに聞いてみた。

「なかなか群生しないとか、水が豊富なところじゃないと花が咲かないとかあるんじゃないの?」

 電力が少ないのでやる気がないらしい。なるべく日の出ているうちは太陽光に当てて充電しておく。そう言えばバッテリーなども後で壊れた宇宙船から回収しないといけない。


「宿代と言っているけど、要は住み込みで、無料で働かされているんだよな」

 森にいる魔物を倒せるくらい強くなればいいのか。森に小屋を建てると税金を取られるだろうか。ただ、ここまで鬱蒼とした森の中なら隠し農場くらいはできそうだ。ひとまず薬草の畑を作ることを目標に動くか。

「食料は必要だよな」

 やはり宇宙船の残骸をタイニーハウスにして、周辺を畑にする計画でいこう。


 考えながら薬草を探していたら、沢の近くに薬草の群生地を見つけた。完全に冒険者ギルドで見た乾燥前の薬草そのものだった。アロエっぽい薬草を捨てて、薬草を採取していく。特に花を付けていないので、成長するのに時間がかかる植物なのかも知れない。さらに、麻痺薬に使う毒草も発見した。幸先が良い。

 そんな時、獣の鳴き声が聞こえてきた。崖の下を警戒しながら覗いてみると、滝壺に小型トラックほどの猪がいた。おそらく魔物だ。あんな魔物に畑を荒らされたらひとたまりもない。

 崖から落ちないようにそっと後ずさりしていくと……。


 ウキョー!!!


 突然、絶叫が聞こえてきた。しかも、3度絶叫して、周辺から音が消えた。いや、耳鳴りのせいで聴覚が一時的に麻痺したのかもしれない。

 この世界のマンドラゴラは強烈だ。耳鳴りが収まった頃、崖の下を覗くと猪が伸びていた。

 遠回りして、崖の下までいくとくじられたマンドラゴラが息絶えている。根っこの魔物だ。

 猪の魔物もショック死している様子。水辺にいたマンドラゴラを掘り返して死んだのだろう。


 猪の頭を大きい石でかち割り、ナイフで首の血管を切っておいた。後はツタで足を縛り、転がして川に浸して血抜きをする。運良く肉が手に入った。

 マンドラゴラの葉を確認し、他に埋まっていないか確認する。それっぽい見た目の葉を見つけたら、抜かずに葉の中心に向かってナイフを突き刺していくだけ。結果、19体ものマンドラゴラを討伐し、袋は一杯になっていった。

さらに、マンドラゴラの種まで見つかり、俺はすべて回収しておいた。種があるのだから繁殖可能ということだろう。


 一度、街に帰り、袋の薬草、毒草、マンドラゴラを換金した。すっかり日が暮れてしまい、宿で一泊。ベッドは藁にシーツを掛けただけというオールド過ぎるスタイルで、快眠カプセルで寝ていた俺にとっては斬新すぎた。



 翌朝、肉汁たっぷりの煮物と固いパンで空腹を満たす。とにかく塩辛いが、慣れれば美味しいのかも知れない。調味料があまり発展していない可能性もある。ただ、昨夜の残りを煮詰めたというだけあって驚くほど安かった。銅貨一枚で銭貨のおつりが来た。そのおつりで冒険者用携帯食も買った。かなり不味いらしいが、背に腹は代えられない。

 金物店で先が鉄製のスコップとクワ、ナイフを買い込む。金網やフライパンなどもあったが、意外に高い。土鍋を買った。

「農家でもやるのか」

「いえ、採取系の仕事です」

 実際は農家をやるつもりだ。

「田舎から来たら、そういうところから冒険者をやっていくといい」

「そうですよね」

 そう言いながら、麻袋をついでに買っておいた。今日も街に入る行商人は多く、馬車も行き交っている。その脇を通って、俺も門から街を出た。


 行き先は宇宙船の墜落現場。マンドラゴラを倒したからか、この世界の重力に慣れたからか、街道からかなり近くに感じた。

 森の中に入って、警戒していたが魔物の気配はない。ちょうどよく草木が折れ、燃え広がってくれたおかげで焼畑のように小さな農園予定地ができている。早速、折れた枝や燃えた木を拾って、燃やしておく。火付け棒など遭難時用のキットが操縦席に残っていたのがよかった。

 操縦席から椅子を外して外に出し、寝床を確保。とりあえずタイニーハウスのような小屋ができた。太陽光パネルを掃除して、充電を開始する。AIに土の窒素含有量などを分析してもらう。


 昨日、血抜きしておいた猪の魔物を見に行った。

 すでに肉も内臓も野生の魔物に食われていたが、骨が無事ならいい。とりあえず未だ肉と皮がついている足の骨を切り離して麻袋に入れた。やはり金槌を買ったほうがよかったか。

 そう思って、街に入ろうとしたら、門兵に呼び止められた。


「なんか、憲兵に探されてるぞ」

「え? なんでですか」

「そんな服着てるから、空から降ってきたんじゃないかって疑われてるんだ」

「え~……」

 その通りなんだけど、どうしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。